この記事では、道路に設置される「もたれ式擁壁(直接基礎)」をエクセルで設計計算した結果をご紹介します。

設計の考え方とフローチャート

これから解説する内容は、社団法人日本道路協会が平成24年7月に発行した道路土工擁壁工指針(以下、H24道擁という。)に基づいている。

今回の紹介する設計プロセスは「岩盤、直接基礎、擁壁上の嵩上げ盛土なし、地下水なし、擁壁高さ8m以下」が適用範囲である。(H24道擁p27, 89)

下記の画像は、設計のフローチャートである。

1. 設計条件

1-1. 形状寸法

  • 擁壁高:$H=6.000\ \mathrm{m}$
  • 天端幅:$b=0.800\ \mathrm{m}$
  • 底面幅:$B=1.400\ \mathrm{m}$
  • 前面勾配:$n_f=0.500$
  • 背面勾配:$n_r=0.400$
  • 擁壁1ブロックの延長:$L=10\ \mathrm{m}$

1-2. コンクリート規格

  • 設計基準強度:$\sigma_{ck}=18\ \mathrm{N/mm^2}$
  • 単位体積重量:$\gamma_c=23\ \mathrm{kN/m^3}$(H24道擁p52)
  • 無筋コンクリートの許容圧縮応力度
    • 常時:$\sigma_{ck}/4=4.50\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p81)
    • 地震時・衝突時:$\sigma_{ck}/4 \times 1.5 =6.75\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p78)
  • 無筋コンクリートの許容曲げ引張応力度
    • 常時:$\sigma_{ck}/80=0.23\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p83,143)
    • 地震時・衝突時:$\sigma_{ck}/80 \times 1.5 =0.34\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p78)
  • 無筋コンクリートの許容せん断応力度:$\sigma_{ck}/100+0.15=0.33\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p83,144)

1-3. 裏込め材料

  • 裏込め土:砂質土
  • せん断抵抗角:$\phi=30\ \mathrm{° }$(H24道擁p66)
  • 単位体積重量:$\gamma_s=19\ \mathrm{kN/m^3}$(H24道擁p66)
  • 粘着力:$c=0\ \mathrm{kN/m^2}$

1-4. 支持地盤

  • 土質:岩盤(軟岩・土丹)
  • 底面と地盤の摩擦係数:$\mu=0.7$(H24道擁p70)
  • 付着力:$c_B=0\ \mathrm{kN/m^2}$(H24道擁p70)
  • 許容鉛直支持力度(常時):$q_a=300\ \mathrm{kN/m^2}$(H24道擁p68,69)
  • 許容鉛直支持力度(衝突時):$q_a=450\ \mathrm{kN/m^2}$(H24道擁p68,69,163)
  • 中間層に軟弱な土層あるいは液状化が懸念されるゆるい砂質土層:なし

1-5. 上載荷重と地下水位

  • 上載荷重:$q=10\ \mathrm{kN/m^2}$(H24道擁p53)
  • 地下水位:なし

1-6. 付属施設

  • 車両用防護柵:Gr-C種(H24道擁p213)
  • 固定方法:砂詰め固定
  • 衝突荷重:$P_g=30\ \mathrm{kN}$(H24道擁p62)
    • 作用位置:$h_g=0.600\ \mathrm{m}$
  • 衝突車両の前輪荷重:$W_g=25\ \mathrm{kN}$(H24道擁p63)
    • 支柱中心部(作用位置)から天端前面までの距離:$b_g=0.400\ \mathrm{m}$

1-7. 重要度区分と要求性能

擁壁は、その重要度に応じて設計照査の方法(耐震設計の基本方針)を区分している。(H24道擁p42)

  • 重要度1:万が一損傷すると交通機能に著しい影響を与える場合、あるいは隣接する施設に重大な影響を与える場合
  • 重要度2:重要度1に該当するもの以外

この設計計算例では、「重要度2」とする。

📌NOTE
  • 重要度区分は「道路ネットワークとしての重要度」を定義しており、基本的な考え方として自治体が「緊急輸送道路」に設定している道路であれば、「重要度1」に指定します。
  • 重要度の決定は、施設管理者の判断となりますが、う回路の有無など多方面からの検討に基づいて決定することが望ましいと言えます。
  • 重要度の設定方法の一例としては、岐阜県Webサイトに掲載の「道路設計要領 第4-2章 4-2-7」が参考になります。

擁壁の要求性能とは、「擁壁の壊れにくさ」を定義しており、例えば「性能1」であれば、大震災後でも、健全性が保たれ道路を通行することができるほど壊れにくいということである。

要求性能は、3段階に区分されている。

  • 性能1:擁壁としての健全性を損なわない
  • 性能2:損傷が限定的なものにとどまり、擁壁としての機能の回復が速やかに行い得る
  • 性能3:損傷が擁壁として致命的とならない

この設計計算例では、重要度より要求性能を下記のとおり決定する。(H24道擁p44)

  • 常時の作用:性能1
  • 降雨の作用:性能1
  • レベル1地震動の作用:性能2
  • レベル2地震動の作用:性能3
📌NOTE
  • 公益社団法人日本道路協会のWebサイトに「道路土工構造物技術基準・同解説(平成29年3月)」出版後の道路土工指針等の取扱いについて記載されています。
  • 同文書の3ページ目には、擁壁工に関する読み替えの例が記載されています。
  • 内容は、「擁壁の要求性能」、「擁壁の限界状態」について読み替えの例となっています。

1-8. 設計方法と照査方法

設計方法は、「H24道擁の第5章に示した慣用的な設計方法(慣用法)」とする。

照査は、「擁壁の安定性」、「部材の安全性」、「排水工、付帯工」の3つに分けて行う。(H24道擁p88)

1-8-1. 擁壁の安定性

「擁壁の安定性」は、さらに「擁壁自体の安定性」、「背面盛土及び基礎地盤を含む全体としての安全性」に分けられる。

1-8-1-1. 擁壁自体の安定性の照査

「擁壁自体の安定性」について、H24道擁の第5章に示した慣用的な設計方法・施工方法に従えば、所要の性能を確保するとされており、例えば「常時の作用に対して性能1」を満足するとみなしてよいとされている。(H24道擁p88)

また、擁壁高$H \leqq 8\mathrm{m}$の場合、「常時の作用で照査」すれば、「レベル1地震動の作用に対して性能2」、「レベル2地震動の作用に対して性能3」を満足するとされている。(H24道擁p89)

よって、今回は「擁壁高$H \leqq 8\mathrm{m}$」かつ、「重要度2」であるため、「レベル1地震動の作用」と「レベル2地震動の作用」に対する安定性照査は不要となる。

さらに、今回は「地下水位がないこと」、および「排水工を適切に設置すること」を前提とし、「水圧の影響を考慮しない」こととする。(H24道擁p55)

このため、「降雨の作用」については、通常、常時の作用における荷重の一項目として扱うが、今回はその荷重がないため、降雨に作用に対する照査を省略する。(H24道擁p49,88)

一方、擁壁天端に防護柵が設置されているため、「その他の作用(衝突時)で照査」が必要となる。

1-8-1-2. 背面盛土及び基礎地盤を含む全体としての安定性

「背面盛土及び基礎地盤を含む全体としての安定性」については、「1-4.支持地盤」に示したとおり、検討を要する層がないため、検討は不要となる。(H24道擁p111)

1-8-2. 部材の安全性

部材の安全性についても、擁壁の安定性と同様に、H24道擁の第5章に示した慣用的な設計方法・施工方法に従えば、所要の性能を確保するとされている。

擁壁を構成する部材の定義は、「躯体、底版及び杭等」とされている。(H24道擁p142)

底版と杭を有しないもたれ式擁壁の場合、部材の安全性照査は躯体のみであり、照査断面位置を固定端とする片持ばりとして設計・照査する。(H24道擁p166)

1-8-3. 排水工、付帯工

排水工は、上述の降雨による照査が不要となるようH24道擁p203の「5-9 排水工」に従い適切に設計するとこととする。

付帯工は、H24道擁p212の「5-10 付帯工」に従い設計することとする。

1-8-4. まとめ

まとめると、今回の設計例での設計方法と必要な照査は以下のとおり。

  • 設計方法:H24道擁の第5章に示した慣用的な設計方法(慣用法)
  • 照査方法
    • 擁壁の安定性の照査
      • 擁壁自体の安定性の照査
        • 常時の作用で照査:
        • 降雨の作用で照査:不要
        • レベル1地震動の$k_h$で照査:不要
        • レベル2地震動の$k_h$で照査:不要
        • その他の作用(衝突時)で照査:
      • 背面盛土及び基礎地盤を含む全体としての安定性の検討:不要
    • 部材の安全性の照査:
    • 排水工、付帯工:適切に設計する

1-9. 照査のおける荷重の組み合わせ

照査は、「常時」と「衝突時」のみ行うこととする。

衝突時には上載荷重を考慮しないため、下表のとおりの荷重の組み合わせとする。(H24道擁p51)

自重 上載荷重 土圧 衝突荷重
常時 有り 有り 有り
衝突時 有り 有り 有り
📌NOTE
  • 一般には、常時の作用に対しては「自重+載荷重+土圧」の組み合わせに加えて、「自重+土圧」の組み合わせについても設計を行うとされています。(H24道擁p51)
  • これは、載荷重を無視すると、照査項目によっては、危険側に推移することがあるからです。
  • ただ、この設計例では、エクセルで上載荷重を「10」から「0」にしても照査項目のすべてが許容値内になることが確認できます。
  • 本来は「自重+土圧」の組み合わせも照査の対象にするのが正しいのですが、エクセル上で簡単に確認できるため、省略しています。

1-10. 照査における許容値

照査に用いる許容値は以下のとおりとする。(許容鉛直支持力度は「1-4. 支持地盤」より再掲)

常時衝突時
転倒に対する安定条件(H24道擁p112,162)$\displaystyle d > \frac{B}{2}$$\displaystyle d \geqq \frac{B}{3}$
滑動に対する安全率(H24道擁p113,162)1.51.2
許容鉛直支持力度(H24道擁p68,69,163)300 kN/m²450 kN/m²
許容変位(H24道擁p110)省略省略
📌NOTE
  • 衝突時の安全率や許容鉛直支持力度は、地震時の値を採用しています。
  • 衝突荷重は「主荷重」ではなく「従荷重」とされています。(H24道擁p50)
  • 従荷重とは、「必ずしも常時またはしばしば作用するとは限らないが、荷重の組合せにおいて必ず考慮しなければならない荷重」のことです。
  • よって、衝突時は、常時の範疇に入らないと考えます。
  • また、許容応力度の割増し係数は、衝突時と地震時が共に1.50である(H24道擁p78)ため、安全率や許容鉛直支持力度も地震時の値を採用するのが妥当と考えられます。

2. 設計に用いる荷重

2-1. 自重

擁壁を図のとおりの断面に区分し、面積と重心を求める。
重心は、0点からの距離とし、水平方向$x$とする。
全体①から、三角形②③を引いて、面積 を算出する。

区分

(m)
高さ

(m)
面積
$A$
(m²)
0点からの距離
$x$
(m)
断面一次モーメント
$Ax$
(m³)
3.800 6.000 22.800 1.900 43.320
3.000 6.000 -9.000 1.000 -9.000
2.400 6.000 -7.200 3.000 -21.600
Σ 6.600 12.720

擁壁の重心位置(水平方向の0点からの距離)は、下式により求められる。

$$ \begin{equation} \begin{split} x_G &= \frac{\Sigma A x}{\Sigma A}\\[5px] &= \frac{12.720}{6.600}\\[5px] &= 1.927 \ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

自重$W_c$は、擁壁の断面積$A$に、コンクリートの単位体積重量$\gamma_c$を乗じて算出する。

$$ \begin{equation} \begin{split} W_c &= \Sigma A \cdot \gamma_c\\[5px] &= 6.600 \times 23\\[5px] &= 151.800 \ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

2-2. 衝突荷重

衝突荷重は、水平力と鉛直力の2つに分けて算出する。

2-2-1. 水平力

水平力は、擁壁天端に設置されたガードレールに車両が衝突した際の水平方向の荷重である。
この車両1台あたりの衝突荷重$P_g$を擁壁の1ブロック延長$L$で除して、単位幅あたりの衝突荷重$p_g$を算出する。
$$ \begin{equation} \begin{split} p_g &= \frac{P_g}{L}\\[5px] &= \frac{30}{10}\\[5px] &= 3 \ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

次に、擁壁底面から作用位置までの鉛直距離$y_g$を算出する。
「1. 設計条件」で定めたとおり、擁壁の高さ$H$に作用位置の高さ$h_g$を加える。
$$ \begin{equation} \begin{split} y_g &= H + h_g\\[5px] &= 6.000 + 0.600\\[5px] &= 6.600 \ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

2-2-2. 鉛直力

衝突荷重における鉛直力とは、車両がガードレールに衝突した際に、車両の前輪から擁壁にかかる輪荷重のことである。
鉛直力は、車両1台あたりの衝突車両の前輪荷重$W_g$を擁壁の1ブロック延長$L$で除して、単位幅あたりの衝突荷重$w_g$として算出する。
$$ \begin{equation} \begin{split} w_g &= \frac{W_g}{L}\\[5px] &= \frac{25}{10}\\[5px] &= 2.5 \ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
次に、擁壁前面から作用位置までの水平距離$x_g$を算出する。
$$ \begin{equation} \begin{split} x_g &= b_f+b_g\\[5px] &= 3.000 + 0.400\\[5px] &= 3.400 \ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

2-3. 土圧

2-3-1. 常時

主働土圧は、試行くさび法によって算出する。(H24道擁p100)

擁壁上の盛土が平坦な場合(嵩上げ盛土がない場合)は、主働土圧合力は下式で算出できる。(H24道擁p101)

$$ \begin{equation} \begin{split} P=\frac{W \cdot \sin(\omega - \phi)}{\cos(\omega - \phi - \alpha - \delta)} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} W = \frac{b_u \cdot H}{2}\cdot \gamma_s + q \cdot b_u \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} b_u= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan \alpha) \cdot H \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $P$:主働土圧合力(kN/m)
  • $W$:上載荷重を含んだ土くさび重量(載荷重を含む)(kN/m)
  • $b_u$:土塊上の上載荷重の作用幅(m)
  • $\omega$:仮定したすべり面と水平面のなす角(° )
  • $\phi$:裏込め土のせん断抵抗角(° )
  • $\alpha$:壁背面と鉛直面のなす角(鉛直面より左回り正)(° )
    • $\alpha= \tan^{-1}n_r=\tan^{-1}0.4=-21.8$
  • $\delta$:壁面摩擦角(° )
    • $\displaystyle \delta = \frac{2}{3}\cdot \phi = \frac{2}{3}\times 30 =20$(H24道擁p99)
📌NOTE
  • 壁背面と鉛直面のなす角$\alpha$は、「負」の値となります。
  • これは、H24道擁p101の図のとおり、重力式擁壁の場合に「正」となるよう計算式が定義されているからです。
  • ちなみに、後述の「3-1-4. 支持に対する照査」では、同じ角度である壁面傾斜角$\theta$の符号が逆になります。

よって、

$$ \begin{equation} \begin{split} P &=\frac{W \cdot \sin(\omega - \phi)}{\cos(\omega - \phi - \alpha - \delta)}\\[5px] &=\frac{W \cdot \sin(\omega - 30)}{\cos(\omega - 30 - - 21.8 - 20)}\\[5px] &= \frac{W \cdot \sin(\omega - 30)}{\cos(\omega - 28.2)} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} W &= \frac{b_u \cdot H}{2} \cdot \gamma_s + q \cdot b_u\\[5px] &= \frac{b_u \cdot 6.000}{2} \cdot 19 + 10 \cdot b_u\\[5px] &= 67.000 \cdot b_u \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} b_u &= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan \alpha) \cdot H \\[5px] &= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan -21.8)\cdot 6.000\\[5px] &= (\frac{1}{\tan\omega} - 0.400)\cdot 6.000\\[5px] &= \frac{6.000}{\tan\omega}-2.400 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

すべり角$\omega$を変化させて、主働土圧合力$P$の最大値を求める。

上の式を用いて、表計算すると下記のとおりとなる。

すべり角
$\omega$
(° )
上載幅
$b_u$
(m)
土くさび重量
$W$
(kN/m)
主働土圧合力
$P$
(kN/m)
45 3.600 241.200 65.210
46 3.394 227.407 65.833
47 3.195 214.071 66.116
48 3.002 201.162 66.069
49 2.816 188.653 65.702

よって、土圧合力が最大となるすべり角は

$$ \begin{equation} \begin{split} \omega = 47 \ \mathrm{° } \end{split}\nonumber \end{equation} $$

その時の主働土圧合力は

$$ \begin{equation} \begin{split} P=66.116 \ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

このとき、土圧合力の水平成分、鉛直成分、作用位置は次のとおりとなる。

水平成分
$$ \begin{equation} \begin{split} P_H &= P \cdot \cos(\alpha + \delta)\\[5px] &= 66.116 \times \cos(-21.8 + 20)\\[5px] &= 66.083\ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
鉛直成分
$$ \begin{equation} \begin{split} P_V &= P \cdot \sin(\alpha + \delta)\\[5px] &= 66.116 \times \sin(-21.8 + 20)\\[5px] &= -2.077\ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
作用位置
$$ \begin{equation} \begin{split} y_A &= \frac{H}{3} \\[5px] &= \frac{6.000}{3}\\[5px] &= 2.000\ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} x_A &= B + y_A\times n_r\\[5px] &= 1.400 + 2.000 \times 0.400\\[5px] &= 2.200\ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

2-3-2. 衝突時

常時と同様に主働土圧は、試行くさび法によって算出する。

ただし、「1-9. 照査における荷重の組み合わせ」のとおり上載荷重$q=0$とする。
よって、

$$ \begin{equation} \begin{split} P &=\frac{W \cdot \sin(\omega - \phi)}{\cos(\omega - \phi - \alpha - \delta)}\\[5px] &=\frac{W \cdot \sin(\omega - 30)}{\cos(\omega - 30 - -21.8 - 20)}\\[5px] &= \frac{W \cdot \sin(\omega - 30)}{\cos(\omega - 28.2)} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} W &= \frac{b_u \cdot H}{2} \cdot \gamma_s + q \cdot b_u\\[5px] &= \frac{b_u \cdot 6.000}{2} \cdot 19 + 0 \cdot b_u\\[5px] &= 57.000 \cdot b_u \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} b_u &= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan \alpha) \cdot H \\[5px] &= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan -21.8 ) \cdot 6.000\\[5px] &= (\frac{1}{\tan\omega} -0.400 ) \cdot 6.000\\[5px] &= \frac{6.000}{\tan\omega}-2.400 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

すべり角$\omega$を変化させて、主働土圧合力$P$の最大値を求める。

すべり角
$\omega$
(° )
上載幅
$b_u$
(m)
土くさび重量
$W$
(kN/m)
主働土圧合力
$P$
(kN/m)
45 3.600 205.200 55.477
46 3.394 193.466 56.007
47 3.195 182.120 56.248
48 3.002 171.138 56.208
49 2.816 160.496 55.895

よって、土圧合力が最大となるすべり角は

$$ \begin{equation} \begin{split} \omega = 47 \ \mathrm{° } \end{split}\nonumber \end{equation} $$

その時の主働土圧合力は

$$ \begin{equation} \begin{split} P=56.248 \ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

このとき、土圧合力の水平成分、鉛直成分、作用位置は次のとおりとなる。

水平成分
$$ \begin{equation} \begin{split} P_H &= P \cdot \cos(\alpha + \delta)\\[5px] &= 56.248 \times \cos(-21.8 + 20)\\[5px] &= 56.220\ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
鉛直成分
$$ \begin{equation} \begin{split} P_V &= P \cdot \sin(\alpha + \delta)\\[5px] &= 56.248 \times \sin(-21.8 + 20)\\[5px] &= -1.767\ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
作用位置
$$ \begin{equation} \begin{split} y_A &= \frac{H}{3} \\[5px] &= \frac{6.000}{3}\\[5px] &= 2.000\ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} x_A &= B + y_A \times n_r\\[5px] &= 1.400 + 2.000 \times 0.400\\[5px] &= 2.200\ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

3. 擁壁の安定性の照査

擁壁自体の安定性を照査する。

3-1. 常時

3-1-1. 作用力の集計

照査にあたり、作用力を集計する。

自重と土圧について、上記のとおり鉛直力と水平力をそれぞれ算出しましたので、作用位置までの距離を乗じて、モーメントを算出する。

鉛直力水平力作用位置(アーム長)モーメント
$V$$H$$x$$y$$M_x = V \cdot x$$M_y = H \cdot y$
(kN/m)(kN/m)(m)(m)(kN・m/m)(kN・m/m)
自重151.8000.0001.927292.5600.000
土圧-2.07766.0832.2002.000-4.569132.166
合計149.72366.083287.991132.166

3-1-2. 転倒に対する照査

まず、「作用力の合力位置$d$」を求める。
作用力の合力位置は、底面つま先から合力の作用点までの水平距離であり、次のとおり求められる。(H24道擁p117)
$$ \begin{equation} \begin{split} d &= \frac{\Sigma M_x - \Sigma M_y}{\Sigma V} \\[5px] &= \frac{287.991 - 132.166}{149.723}\\[5px] &= 1.041\ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
「1. 設計条件」で定めた「転倒に対する安定条件」のとおり、安定に必要な合力位置は擁壁底面の中央より後方であるため、許容最小距離は次のとおり求められる。
$$ \begin{equation} \begin{split} \frac{B}{2} &= \frac{1.400}{2} \\[5px] &= 0.700\ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

以上より、作用力の合力位置$d=1.041$、許容最小距離$0.700$なので、

$$ \begin{equation} \begin{split} d=1.041 > \frac{B}{2}=0.700 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

よって、転倒に対しては安全である。

3-1-3. 滑動に対する照査

下式のとおり、滑動に対する抵抗力を滑動力で除して、安全率を算出する。(H24道擁p113)

$$ \begin{equation} \begin{split} F_s &= \frac{\Sigma V \cdot \mu + c_B \cdot B'}{\Sigma H} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

このうち、付着力$c_B=0$であるため、下式のとおり、安全率を算出する。

$$ \begin{equation} \begin{split} F_s &= \frac{\Sigma V \cdot \mu}{\Sigma H} \\[5px] &= \frac{149.723 \times 0.700}{66.083}\\[5px] &= 1.586 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

「1. 設計条件」で定めたとおり、常時においては、滑動に対する安全率$F_{sa}=1.5$である。

$$ \begin{equation} \begin{split} F_s=1.586 \geqq F_{sa}=1.5 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

よって、滑動に対しては安全である。

3-1-4. 支持に対する照査

作用力の合力位置が擁壁底面幅の1/2より後方にある($d \geqq B/2$)ため、簡便法で計算する(H24道擁p164)

$$ \begin{equation} \begin{split} Q_t = \frac{M_a - \kappa_d \cdot B \cdot \Sigma V}{B \cdot \sin \theta (1- \kappa_d) + ℓ(1 - \kappa_ℓ /3)} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} Q_V = \Sigma V - Q_t \cdot \sin \theta \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} Q_H = \Sigma H + Q_t \cdot \cos \theta \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_{v1} = \frac{2 \cdot Q_V(2-3 \cdot \kappa_d)}{B} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_{v2} = \frac{2 \cdot Q_V(3 \cdot \kappa_d -1)}{B} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_t = \frac{2 \cdot Q_t}{\kappa_ℓ \cdot ℓ} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

ここに、

  • $M_a$:擁壁底面のつま先回りの作用モーメント(kN・m/m)
    $$ \begin{equation} \begin{split} M_a = \Sigma M_x - \Sigma M_y = 287.991 - 132.166 =155.825 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
  • $ℓ$:壁面長(m)
    $$ \begin{equation} \begin{split} ℓ = H \times \sqrt{1+n_r^2} = 6.000 \times \sqrt{1+0.400^2}=6.462 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
  • $\theta$:壁面傾斜角(壁面より左回り正)
    • $\theta = \tan^{-1} n_r = \tan^{-1} 0.4 = 21.8 \ \mathrm{°}$
  • $Q_V$:擁壁底面に発生する鉛直地盤反力(kN/m)
  • $Q_H$:擁壁底面に発生する水平地盤反力(kN/m)
  • $Q_t$:擁壁背面に発生する壁面地盤反力(kN/m)
    • ただし、$d \leqq \kappa_d \cdot B$のとき、$Q_t = 0$
  • $q_{v1}$:擁壁底面の前方に発生する鉛直地盤反力度(kN/m²)
  • $q_{v2}$:擁壁底面の後方に発生する鉛直地盤反力度(kN/m²)
  • $q_t$:擁壁背面に発生する最大壁面地盤反力度(kN/m²)
  • $d_p$:擁壁底面のつま先からの鉛直地盤反力の作用位置(m)
  • $ℓ_1$:擁壁底面から壁面地盤反力度が発生する位置までの区間長(m)
  • $ℓ_2$:壁面地盤反力度が発生する区間長(m)
  • $\kappa_ℓ$:壁面地盤反力度が発生する区間長ℓ₂と擁壁壁面長ℓとの比(下表による)
    • $\kappa_ℓ=0.60$
  • $\kappa_d$:壁面底面のつま先からの鉛直地盤反力度の作用位置$d_p$と擁壁底面幅$B$との比
    • $\kappa_d = 0.56$
背面勾配 1:0.3 1:0.4 1:0.5
$\kappa_ℓ=ℓ₂/ℓ$ 0.50 0.60 0.70
📌NOTE
  • 壁面傾斜角$\theta$の符号は「正」になります。
  • ところが、前述「2-3-1. 常時」のとおり、土圧の計算では、同じ角である$\alpha$は、「負」の値です。
  • これは、H24道擁p164のとおり壁面傾斜角$\theta$がもたれ式擁壁の場合に「正」となるよう計算式が定義されている一方、土圧の計算ではH24道擁p101の図のとおり、重力式擁壁の場合に「正」となるよう計算式が定義されているからです。

「3-1-2. 転倒に対する照査」より、

$$ \begin{equation} \begin{split} d=1.041 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

また、

$$ \begin{equation} \begin{split} \kappa_d \cdot B &= 0.56 \times 1.400 \\[5px] &=0.784 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
よって、$d > \kappa_d \cdot B$なので、
$$ \begin{equation} \begin{split} Q_t &= \frac{M_a - \kappa_d \cdot B \cdot \Sigma V}{B \cdot \sin \theta (1- \kappa_d) + ℓ(1 - \kappa_ℓ /3)} \\[5px] &= \frac{155.825 - 0.56 \cdot 1.400 \cdot 149.723}{1.400 \cdot \sin 21.8 (1- 0.56) + 6.462(1 - 0.60 /3)} \\[5px] &= \frac{155.825 - 117.383}{1.400 \times 0.371 \times 0.44 + 6.462 \times 0.80} \\[5px] &= \frac{38.442}{5.399} \\[5px] &= 7.121 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} Q_V &= \Sigma V - Q_t \sin \theta \\[5px] &= 149.723 - 7.121 \cdot \sin 21.8\\[5px] &= 147.079 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} Q_H &= \Sigma H + Q_t \cos \theta \\[5px] &= 66.083 + 7.121 \cdot \cos 21.8\\[5px] &= 72.695 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} ℓ_2 &= \kappa_ℓ \cdot ℓ \\[5px] &= 0.60 \times 6.462\\[5px] &= 3.877 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} ℓ_1 &= ℓ - ℓ_2 \\[5px] &= 6.462 - 3.877\\[5px] &= 2.585 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_t &= \frac{2 \cdot Q_t}{\kappa_ℓ \cdot ℓ} \\[5px] &= \frac{2 \times 7.121}{0.60 \times 6.462}\\[5px] &= \frac{14.242}{3.877}\\[5px] &= 3.673 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_{v1} &= \frac{2 \cdot Q_V(2-3 \cdot \kappa_d)}{B} \\[5px] &= \frac{2 \times 147.079(2-3 \times 0.56)}{1.400} \\[5px] &= \frac{94.130}{1.400} \\[5px] &= 67.236 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_{v2} &= \frac{2 \cdot Q_V(3 \cdot \kappa_d -1)}{B} \\[5px] &= \frac{2 \times 147.079(3 \times 0.56 -1)}{1.400} \\[5px] &= \frac{200.027}{1.400} \\[5px] &= 142.877 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

「1. 設計条件」で定めたとおり、常時においては、許容鉛直支持力度$q_a=300$である。

よって、

$$ \begin{equation} \begin{split} q_{v1}=67.236 \leqq q_a=300 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px] q_{v2}=142.877 \leqq q_a=300 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

よって、支持に対しては安全である。

3-2. 衝突時

3-2-1. 作用力の集計

照査にあたり、作用力を集計します。

自重、土圧、衝突荷重について、上記のとおり鉛直力と水平力をそれぞれ算出しましたので、作用位置までの距離を乗じて、モーメントを算出します。

鉛直力水平力作用位置(アーム長)モーメント
$V$$H$$x$$y$$M_x = V \cdot x$$M_y = H \cdot y$
(kN/m)(kN/m)(m)(m)(kN・m/m)(kN・m/m)
自重151.8000.0001.927292.5600.000
衝突荷重2.5003.0003.4006.6008.50019.800
土圧-1.76756.2202.2002.000-3.887112.440
合計152.53359.220297.173132.240

3-2-2. 転倒に対する照査

まず、「作用力の合力位置$d$」を求める。
作用力の合力位置は、底面つま先から合力の作用点までの水平距離であり、次のとおり求められる。(H24道擁p117)
$$ \begin{equation} \begin{split} d &= \frac{\Sigma M_x - \Sigma M_y}{\Sigma V} \\[5px] &= \frac{297.173 - 132.240}{152.533}\\[5px] &= 1.081\ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
「1. 設計条件」で定めた「転倒に対する安定条件」より、許容最小距離は次のとおり求められる。
$$ \begin{equation} \begin{split} \frac{B}{3} &= \frac{1.400}{3} \\[5px] &= 0.467\ \mathrm{m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

以上より、作用力の合力位置$d=1.081$、許容最小距離$0.467$なので、

$$ \begin{equation} \begin{split} d=1.081 \geqq \frac{B}{3}=0.467 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

よって、転倒に対しては安全である。

3-2-3. 滑動に対する照査

下式のとおり、滑動に対する抵抗力を滑動力で除して、安全率を算出する。(H24道擁p113)

$$ \begin{equation} \begin{split} F_s &= \frac{\Sigma V \cdot \mu + c_B \cdot B'}{\Sigma H} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

このうち、付着力cB=0であるため、下式のとおり、安全率を算出する。

$$ \begin{equation} \begin{split} F_s &= \frac{\Sigma V \cdot \mu}{\Sigma H} \\[5px] &= \frac{152.533 \times 0.700}{59.220}\\[5px] &= 1.803 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

「1. 設計条件」で定めたとおり、衝突時においては、滑動に対する安全率$F_{sa}=1.2$である。

$$ \begin{equation} \begin{split} F_s=1.803 \geqq F_{sa}=1.2 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

よって、滑動に対しては安全である。

3-2-4. 支持に対する照査

常時と同様に、作用力の合力位置が擁壁底面幅の1/2より後方にある($d \geqq B/2$)ため、簡便法で計算する(H24道擁p164)

「3-2-2. 転倒に対する照査」より、

$$ \begin{equation} \begin{split} d=1.081 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

また、

$$ \begin{equation} \begin{split} \kappa_d \cdot B &= 0.56 \times 1.400 \\[5px] &=0.784 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
よって、$d > \kappa_d \cdot B$なので、
$$ \begin{equation} \begin{split} Q_t &= \frac{M_a - \kappa_d \cdot B \cdot \Sigma V}{B \cdot \sin \theta (1- \kappa_d) + ℓ(1 - \kappa_ℓ /3)} \\[5px] &= \frac{164.933 - 0.56 \cdot 1.400 \cdot 152.533}{1.400 \cdot \sin 21.8 (1- 0.56) + 6.462(1 - 0.60 /3)} \\[5px] &= \frac{164.933 - 119.586}{1.400 \times 0.371 \times 0.44 + 6.462 \times 0.80} \\[5px] &= \frac{45.347}{5.399} \\[5px] &= 8.400 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $$ \begin{equation} \begin{split} M_a = \Sigma M_x - \Sigma M_y = 297.173 - 132.240 =164.933 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} Q_V &= \Sigma V - Q_t \sin \theta \\[5px] &= 152.533 - 8.400 \cdot \sin 21.8\\[5px] &= 149.414 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} Q_H &= \Sigma H + Q_t \cos \theta \\[5px] &= 59.220 + 8.400 \cdot \cos 21.8\\[5px] &= 67.019 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} ℓ_2 &= \kappa_ℓ \cdot ℓ \\[5px] &= 0.60 \times 6.462\\[5px] &= 3.877 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} ℓ_1 &= ℓ - ℓ_2 \\[5px] &= 6.462 - 3.877\\[5px] &= 2.585 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_t &= \frac{2 \cdot Q_t}{\kappa_ℓ \cdot ℓ} \\[5px] &= \frac{2 \times 8.400}{0.60 \times 6.462}\\[5px] &= \frac{16.800}{3.877}\\[5px] &= 4.333 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_{v1} &= \frac{2 \cdot Q_V(2-3 \cdot \kappa_d)}{B} \\[5px] &= \frac{2 \times 149.414(2-3 \times 0.56)}{1.400} \\[5px] &= \frac{95.625}{1.400} \\[5px] &= 68.303 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} q_{v2} &= \frac{2 \cdot Q_V(3 \cdot \kappa_d -1)}{B} \\[5px] &= \frac{2 \times 149.414(3 \times 0.56 -1)}{1.400} \\[5px] &= \frac{203.203}{1.400} \\[5px] &= 145.145 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

「1. 設計条件」で定めたとおり、衝突時においては、許容鉛直支持力度$q_a=450$である。

よって、

$$ \begin{equation} \begin{split} q_{v1}=68.303 \leqq q_a=450 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px] q_{v2}=145.145 \leqq q_a=450 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

よって、支持に対しては安全である。

4. 部材の安全性の照査

4-1. 常時

4-1-1. 自重

擁壁を図のとおりの断面に区分し、面積と重心を求める。
重心は、0点からの距離とし、水平方向$x$とする。
全体①から、三角形②③を引いて、面積$A$と断面一次モーメント$Ax$を算出する。
区分

(m)
高さ

(m)
面積
$A$
(m²)
0点からの距離
$x$
(m)
断面一次モーメント
$Ax$
(m³)
$0.500 h_i +0.800$ $h_i$ $0.500 h_i^2 +0.800 h_i$ $0.250 h_i +0.400$ $0.125 h_i^3 +0.400 h_i^2 +0.320 h_i$
$0.500 h_i$ $h_i$ $-0.250 h_i^2$ $0.167 h_i$ $-0.042 h_i^3$
$0.400 h_i$ $h_i$ $-0.200 h_i^2$ $0.367 h_i +0.800$ $-0.073 h_i^3 -0.160 h_i^2$
Σ $0.050 h_i^2 + 0.800 h_i$ $0.010 h_i^3 +0.240 h_i^2 + 0.320 h_i$
擁壁の重心位置(水平方向の擁壁前面からの距離)は、下式により求められる。
$$ \begin{equation} \begin{split} x_G &= \frac{\Sigma A x}{\Sigma A}\\[5px] &= \frac{0.010 h_i^3 +0.240 h_i^2 + 0.320 h_i}{0.050 h_i^2 + 0.800 h_i}\\[5px] &= \frac{0.010 h_i^2 +0.240 h_i + 0.320}{0.050 h_i + 0.800} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

照査断面の幅$B_i$は、下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} B_i &= 0.500 h_i + 0.800 - 0.400 h_i\\[5px] &= 0.100 h_i + 0.800 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
照査断面における躯体中心から重心位置までの距離$x_G'$は、下式で算出できる。
$$ \begin{equation} \begin{split} x_G' &= x_G - \frac{B_i}{2}\\[5px] &= \frac{0.010 h_i^2 + 0.240 h_i +0.320}{0.050 h_i + 0.800} - \frac{0.100 h_i + 0.800}{2}\\[5px] &= \frac{2(0.010 h_i^2 + 0.240 h_i +0.320)}{2(0.050 h_i + 0.800)} - \frac{(0.100 h_i + 0.800)(0.050 h_i + 0.800)}{2(0.050 h_i + 0.800)}\\[5px] &= \frac{0.020 h_i^2 + 0.480 h_i +0.640}{0.100 h_i + 1.600} - \frac{0.005 h_i^2 + 0.080 h_i + 0.040 h_i + 0.640}{0.100 h_i + 1.600}\\[5px] &= \frac{0.015 h_i^2 + 0.360 h_i}{0.100 h_i + 1.600} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

擁壁の面積$A$に、コンクリートの単位体積重量$\gamma_c$を乗じて、自重$W_c$を算出する。

高さを変化させて、それぞれの自重、重心、およびモーメントを表計算で求める。

高さ
$h_i$
(m)
面積
$A$
(m²)
単位体積重量
$\gamma_c$
(kN/m³)
自重
$W_c=A \cdot \gamma_c$
(kN/m)
重心
$x_G'$
(m)
モーメント
$M_x=W_c \cdot x_G'$
(kN・m/m)
1.000 0.850 23 19.550 0.221 4.313
2.000 1.800 23 41.400 0.433 17.940
3.000 2.850 23 65.550 0.639 41.918
4.000 4.000 23 92.000 0.840 77.280
5.000 5.250 23 120.750 1.036 125.063
6.000 6.600 23 151.800 1.227 186.300
📌NOTE
  • 「1-8-2. 部材の安全性」のとおり、躯体を照査する必要がありますが、どの断面を照査するかは設計者次第となります。
  • 今回の設計例では、天端から1.0m毎に照査する断面を設定します。

4-1-2. 土圧

最大の主導土圧合力$P$より、主働土圧係数$K_A$を逆算する。(H24道擁p101)

「2-3-1. 常時」より、

$$ \begin{equation} \begin{split} P = 66.116 \ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} K_A &= \frac{2 \cdot P}{\gamma_s \cdot H^2}\\[5px] &= \frac{2 \times 66.116}{19 \times 6.000^2}\\[5px] &= 0.193 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

任意位置に作用する土圧強度$p_i$は、土圧強度の定義より下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} p_i &= K_A \cdot \gamma_s \cdot h_i\\[5px] &= 0.193 \times 19 \times h_i\\[5px] &= 3.673 h_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$

任意の位置の土圧合力$P_i$は、下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} P_i = \frac{p_i \cdot h_i}{2} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

このとき、土圧合力の水平成分、鉛直成分、作用位置は次のとおりとなる。

水平成分
$$ \begin{equation} \begin{split} P_{iH} &= P_i \cdot \cos(\alpha + \delta)\\[5px] &= P_i \times \cos(-21.8 + 20)\\[5px] &= 1.000 P_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$
鉛直成分
$$ \begin{equation} \begin{split} P_{iV} &= P_i \cdot \sin(\alpha + \delta)\\[5px] &= P_i \times \sin(-21.8 + 20)\\[5px] &= -0.031 P_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$
作用位置
$$ \begin{equation} \begin{split} y_i = \frac{h_i}{3} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} x_i &= \frac{B_i}{2} + n_r \cdot y_i\\[5px] &= \frac{0.100 h_i + 0.800}{2} + 0.400 \cdot y_i\\[5px] &= 0.050 h_i + 0.400 + 0.400 y_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$

高さを変化させて、それぞれの作用位置とモーメントを表計算で求める。

高さ土圧強度土圧合力鉛直力水平力作用位置(アーム長)モーメント
$h_i$$p_i$$P_i$$P_{iV}$$P_{iH}$$x_i$$y_i$$M_x = P_{iV} \cdot x_i$$M_y = P_{iH} \cdot y_i$
(m)(kN/m²)(kN/m)(kN/m)(kN/m)(m)(m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.0003.6731.837-0.0581.8360.5830.333-0.0340.612
2.0007.3467.346-0.2317.3430.7670.667-0.1774.895
3.00011.01916.529-0.51916.5210.9501.000-0.49316.521
4.00014.69229.385-0.92329.3701.1331.333-1.04639.160
5.00018.36545.914-1.44245.8911.3171.667-1.89976.485
6.00022.03966.116-2.07766.0831.5002.000-3.115132.166

4-1-3. 壁面地盤反力

前述の「3-1-4.支持に対する照査」と同様、簡便法で計算する。(H24道擁p164)

「3-1-4.支持に対する照査」より、
  • $ℓ = 6.462 \ \mathrm{m}$
  • $\kappa_ℓ = 0.60$
  • $ℓ_2 = 3.877 \ \mathrm{m}$
  • $Q_t = 7.121 \ \mathrm{kN/m}$
  • $q_t = 3.673 \ \mathrm{kN/m^2}$
  • $\theta = 21.8 \ \mathrm{°}$
壁面地盤反力度が作用する背面の延長$z_i'$は下式で算出できる。
$$ \begin{equation} \begin{split} z_i' &= \frac{z_i}{\cos \theta}\\[5px] &= \frac{z_i}{\cos 21.8}\\[5px] &= 1.077 z_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$

照査断面位置の壁面地盤反力度$q_t’$は、三角形の相似より下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} q_t' &= \frac{\kappa_ℓ \cdot ℓ - z_i'}{\kappa_ℓ \cdot ℓ} q_t \\[5px] &= \frac{0.60 \times 6.462 - z_i'}{0.60 \times 6.462} \times 3.673\\[5px] &= 3.673 - 0.947 z_i' \end{split}\nonumber \end{equation} $$

壁面地盤反力の合力$Q_{tzi}$は台形の面積なので、下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} Q_{tzi} &= \frac{(q_t + q_t') \times z_i'}{2}\\[5px] &= \frac{(3.673 + 3.673 -0.947 z_i') \times z_i'}{2}\\[5px] &= 3.673 z_i' - 0.474 z_i'^2 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

このとき、土圧合力の水平成分、鉛直成分、作用位置は次のとおりとなる。

水平成分

$$ \begin{equation} \begin{split} Q_{iH} &= Q_{tzi} \cos \theta\\[5px] &= Q_{tzi} \cos 21.8\\[5px] &= 0.928 \cdot Q_{tzi} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

鉛直成分

$$ \begin{equation} \begin{split} Q_{iV} &= -Q_{tzi} \sin \theta\\[5px] &= -Q_{tzi} \sin 21.8\\[5px] &= -0.371 \cdot Q_{tzi} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

作用位置

$$ \begin{equation} \begin{split} x_{zi} &= \frac{B_i}{2} + n_r \cdot y_{zi}\\[5px] &= \frac{0.100 z_i +0.800}{2} + 0.400 \cdot y_{zi}\\[5px] &= 0.050 z_i + 0.400 + 0.400 y_{zi} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
①$z_i < ℓ_2$の場合
$$ \begin{equation} \begin{split} y_{zi} &= \frac{2 \cdot q_t + q_t'}{3(q_t + q_t')}z_i' \times \cos \theta\\[5px] &= \frac{2 \cdot 3.673 + 3.673 - 0.947z_i'}{3(3.673 + 3.673 - 0.947 z_i')}z_i' \times \cos 21.8\\[5px] &= \frac{11.019 - 0.947 z_i'}{22.039 - 2.842 z_i'}z_i' \times 0.928\\[5px] &= \frac{10.231 - 0.880 z_i'}{22.039 - 2.842 z_i'}z_i' \end{split}\nonumber \end{equation} $$
②$z_i = ℓ_2$の場合
$$ \begin{equation} \begin{split} y_{zi} &= h_i - \frac{1}{3}z_i' \times \cos \theta\\[5px] &= h_i - \frac{1}{3}z_i' \times \cos 21.8\\[5px] &= h_i - \frac{1}{3}z_i' \times 0.928\\[5px] &= h_i - 0.309 z_i' \end{split}\nonumber \end{equation} $$

高さを変化させて、それぞれの作用位置とモーメントを表計算で求める。

高さ$z_i' < ℓ_2$鉛直力水平力作用位置(アーム長)モーメント
$h_i$$z_i$$z_i'$or$Q_{tzi}$$Q_{iV}$$Q_{iH}$$x_{zi}$$y_{zi}$$M_x = Q_{iV} \cdot x_{zi}$$M_y = Q_{iH} \cdot y_{zi}$
(m)(m)(m)$z_i'=ℓ_2$(kN/m)(kN/m)(kN/m)(m)(m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.0001.0001.077$z_i' < ℓ_2$3.407-1.2653.1630.6610.527-0.8361.666
2.0002.0002.154$z_i' < ℓ_2$5.714-2.1225.3060.9511.128-2.0195.986
3.0003.0003.231$z_i' < ℓ_2$6.923-2.5716.4281.2931.857-3.32411.938
4.0003.6003.877$z_i' = ℓ_2$7.121-2.6446.6121.7002.800-4.49618.512
5.0003.6003.877$z_i' = ℓ_2$7.121-2.6446.6122.1003.800-5.55325.124
6.0003.6003.877$z_i' = ℓ_2$7.121-2.6446.6122.5004.800-6.61131.736

4-1-4. 荷重の集計

自重、土圧、壁面地盤反力を3区分(鉛直力、水平力、モーメント)で集計する。

鉛直力

高さ
$h_i$
(m)
自重
$W_c$
(kN/m)
土圧
$P_{iV}$
(kN/m)
壁面地盤反力
$Q_{iV}$
(kN/m)
合計
$\Sigma V$
(kN/m)
1.000 19.550 -0.058 -1.265 18.227
2.000 41.400 -0.231 -2.122 39.047
3.000 65.550 -0.519 -2.571 62.460
4.000 92.000 -0.923 -2.644 88.433
5.000 120.750 -1.442 -2.644 116.663
6.000 151.800 -2.077 -2.644 147.079

水平力

高さ
$h_i$
(m)
自重

(kN/m)
土圧
$P_{iH}$
(kN/m)
壁面地盤反力
$Q_{iH}$
(kN/m)
合計
$\Sigma H$
(kN/m)
1.000 0.000 1.836 3.163 4.999
2.000 0.000 7.343 5.306 12.648
3.000 0.000 16.521 6.428 22.949
4.000 0.000 29.370 6.612 35.982
5.000 0.000 45.891 6.612 52.503
6.000 0.000 66.083 6.612 72.695

モーメント

高さ自重土圧壁面地盤反力合計
$h_i$$M_x$$M_y$$M_x$$M_y$$M_x$$M_y$$M_x$$M_y$
(m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.0004.3130.000-0.0340.612-0.8361.6663.4432.278
2.00017.9400.000-0.1774.895-2.0195.98615.74410.881
3.00041.9180.000-0.49316.521-3.32411.93838.10028.458
4.00077.2800.000-1.04639.160-4.49618.51271.73857.673
5.000125.0630.000-1.89976.485-5.55325.124117.610101.609
6.000186.3000.000-3.115132.166-6.61131.736176.574163.902

4-1-5. 応力度算出と判定

断面の幅$B_i$は、下式で算出できる。(4-1-1より再掲)
$$ \begin{equation} \begin{split} B_i &= 0.500 h_i + 0.800 - 0.400 h_i\\[5px] &= 0.100 h_i + 0.800 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

高さごとに、鉛直力、水平力、モーメントを整理し、モーメントの合力を表計算で求める。

高さ鉛直力水平力モーメント
$h_i$$B_i$$\Sigma V$$\Sigma H$$\Sigma M_x$$\Sigma M_y$$M_a= \Sigma M_y - \Sigma M_x$
(m)(m)(kN/m)(kN/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.0000.90018.2274.9993.4432.278-1.165
2.0001.00039.04712.64815.74410.881-4.864
3.0001.10062.46022.94938.10028.458-9.642
4.0001.20088.43335.98271.73857.673-14.066
5.0001.300116.66352.503117.610101.609-16.001
6.0001.400147.07972.695176.574163.902-12.672

無筋コンクリート部材断面に生じる圧縮(曲げ引張)応力度は下式で算出できる。(H24道擁143)

$$ \begin{equation} \begin{split} \sigma_c &= \frac{N}{A} \pm \frac{N \cdot e}{W} \\[5px] &= \frac{N}{1.000 \cdot B_i} \pm \frac{6 \cdot M_a}{1.000 \cdot B_i^2} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $\sigma_c$:コンクリート断面の縁応力度
  • $N$:軸方向力
    • $N= \Sigma V \times 1.000$
  • $A$:コンクリート全断面積(延長方向は1.0mとする。)
    • $A= B_i \times 1.000$
  • $e$:偏心距離
    • $\displaystyle e = \frac{M_a}{N}$
  • $W$:コンクリートの図心軸に関する断面係数
    • $\displaystyle W= \frac{1.000 B_i^2}{6}$

よって、縁応力度(圧縮:正、曲げ引張:負)を判定すると、下表のとおり。

高さ軸方向力モーメント縁応力度縁応力度判定
$h_i$$B_i$$N$$M_a$$\sigma_{c1}$$\sigma_{c2}$$\sigma_{c1}$$\sigma_{c2}$圧縮曲げ引張
(m)(m)(kN)(kN・m/m)(kN/m²)(kN/m²)(N/mm²)(N/mm²)≦4.50≧-0.23
1.0000.90018.227-1.16528.87911.6260.0290.012OKOK
2.0001.00039.047-4.86468.2299.8660.0680.010OKOK
3.0001.10062.460-9.642104.5938.9700.1050.009OKOK
4.0001.20088.433-14.066132.30115.0870.1320.015OKOK
5.0001.300116.663-16.001146.55032.9320.1470.033OKOK
6.0001.400147.079-12.672143.84866.2640.1440.066OKOK

無筋コンクリート部材断面に生じる平均せん断応力度は下式で算出できる。(H24道擁145)

$$ \begin{equation} \begin{split} \tau_m &= \frac{S}{B_i \cdot d} \\[5px] &= \frac{S}{B_i \times 1.000} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $\tau_m$:部材断面に生じるコンクリートの平均せん断応力度
  • $S$:部材のせん断力
    • $S= \Sigma H \times 1.000$

よって、せん断応力度を判定すると、下表のとおり。

高させん断力せん断応力度せん断応力度判定
$h_i$$B_i$$S$$\tau_m$$\tau_m$$\tau_a$
(m)(m)(kN)(kN/m²)(N/mm²)≦0.33
1.0000.9004.9995.5540.006OK
2.0001.00012.64812.6480.013OK
3.0001.10022.94920.8620.021OK
4.0001.20035.98229.9850.030OK
5.0001.30052.50340.3870.040OK
6.0001.40072.69551.9250.052OK

4-2. 衝突時

4-2-1. 自重

自重は常時と同様であるため、面積、重心、モーメントは下表のとおり。(「4-1-1. 自重」より再掲)

高さ
$h_i$
(m)
面積
$A$
(m²)
単位体積重量
$\gamma_c$
(kN/m³)
自重
$W_c=A \cdot \gamma_c$
(kN/m)
重心
$x_G'$
(m)
モーメント
$M_x=W_c \cdot x_G'$
(kN・m/m)
1.000 0.850 23 19.550 0.221 4.313
2.000 1.800 23 41.400 0.433 17.940
3.000 2.850 23 65.550 0.639 41.918
4.000 4.000 23 92.000 0.840 77.280
5.000 5.250 23 120.750 1.036 125.063
6.000 6.600 23 151.800 1.227 186.300

4-2-2. 衝突荷重

衝突荷重は、擁壁端部から1mの位置に作用し45°で下方向に荷重分散させ、水平力と鉛直力の2つに分けて算出する。(H24道擁p61,62)

水平力
有効幅を考慮した衝突荷重$P_{gi}$は、下式で算出できる。
$$ \begin{equation} \begin{split} P_{gi} &= \frac{P_g}{1+h_i} \\[5px] &= \frac{30}{1+h_i} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $P_g$:衝突荷重
    • $P_g= 30 \mathrm{kN}$

鉛直力

有効幅を考慮した衝突車両の前輪荷重$W_{gi}$は、下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} W_{gi} &= \frac{W_g}{1+h_i} \\[5px] &= \frac{25}{1+h_i} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $W_g$:衝突車両の前輪荷重
    • $W_g= 25 \mathrm{kN}$

作用位置

$$ \begin{equation} \begin{split} y_{gi} &= h_i + h_g \\[5px] &= h_i + 0.600 \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} x_{gi} &= \frac{n_f + n_r}{2} h_i \\[5px] &= \frac{0.500 + 0.400}{2} h_i \\[5px] &= 0.450 h_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $h_g$:擁壁天端から水平力の作用位置までの鉛直距離
    • $h_g= 0.600 \mathrm{m}$

高さを変化させて、それぞれの作用位置とモーメントを表計算で求める。

高さ鉛直力水平力作用位置(アーム長)モーメント
$h_i$$W_{gi}$$P_{gi}$$x_{gi}$$y_{gi}$$M_x = W_{gi} \cdot x_{gi}$$M_y = P_{gi} \cdot y_{gi}$
(m)(kN/m)(kN/m)(m)(m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.00012.50015.0000.4501.6005.62524.000
2.0008.33310.0000.9002.6007.50026.000
3.0006.2507.5001.3503.6008.43827.000
4.0005.0006.0001.8004.6009.00027.600
5.0004.1675.0002.2505.6009.37528.000
6.0003.5714.2862.7006.6009.64328.286

4-2-3. 土圧

最大の主導土圧合力$P$より、主働土圧係数$K_A$を逆算する。(H24道擁p101)

「2-3-2. 衝突時」より、

$$ \begin{equation} \begin{split} P = 56.248 \ \mathrm{kN/m} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} K_A &= \frac{2 \cdot P}{\gamma_s \cdot H^2} \\[5px] &= \frac{2 \times 56.248}{19 \times 6.000^2} \\[5px] &= 0.164 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

任意位置に作用する土圧強度$p_i$は、土圧強度の定義より下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} p_i &= K_A \cdot \gamma_s \cdot h_i \\[5px] &= 0.164 \times 19 \times h_i \\[5px] &= 3.125 h_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$

任意の位置の土圧合力$P_i$は、下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} P_i = \frac{p_i \cdot h_i}{2} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

このとき、土圧合力の水平成分、鉛直成分、作用位置は次のとおりとなる。

水平成分
$$ \begin{equation} \begin{split} P_{iH} &= P_i \cdot \cos(\alpha + \delta)\\[5px] &= P_i \times \cos(-21.8 + 20)\\[5px] &= 1.000 P_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$
鉛直成分
$$ \begin{equation} \begin{split} P_{iV} &= P_i \cdot \sin(\alpha + \delta)\\[5px] &= P_i \times \sin(-21.8 + 20)\\[5px] &= -0.031 P_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$
作用位置
$$ \begin{equation} \begin{split} y_i = \frac{h_i}{3} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
$$ \begin{equation} \begin{split} x_i &= \frac{B_i}{2} + n_r \cdot y_i\\[5px] &= \frac{0.100 h_i + 0.800}{2} + 0.400 \cdot y_i\\[5px] &= 0.050 h_i + 0.400 + 0.400 y_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$

高さを変化させて、それぞれの作用位置とモーメントを表計算で求める。

高さ土圧強度土圧合力鉛直力水平力作用位置(アーム長)モーメント
$h_i$$p_i$$P_i$$P_{iV}$$P_{iH}$$x_i$$y_i$$M_x = P_{iV} \cdot x_i$$M_y = P_{iH} \cdot y_i$
(m)(kN/m²)(kN/m)(kN/m)(kN/m)(m)(m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.0003.1251.562-0.0491.5620.5830.333-0.0290.521
2.0006.2506.250-0.1966.2470.7670.667-0.1514.164
3.0009.37514.062-0.44214.0550.9501.000-0.42014.055
4.00012.49924.999-0.78524.9871.1331.333-0.89033.315
5.00015.62439.061-1.22739.0421.3171.667-1.61565.069
6.00018.74956.248-1.76756.2201.5002.000-2.650112.440

4-2-4. 壁面地盤反力

前述の「3-2-4.支持に対する照査」と同様、簡便法で計算する。(H24道擁p164)

「3-2-4.支持に対する照査」より、
  • $ℓ = 6.462 \ \mathrm{m}$
  • $\kappa_ℓ = 0.60$
  • $ℓ_2 = 3.877 \ \mathrm{m}$
  • $Q_t = 8.400 \ \mathrm{kN/m}$
  • $q_t = 4.333 \ \mathrm{kN/m^2}$
  • $\theta = 21.8 \ \mathrm{°}$
壁面地盤反力度が作用する背面の延長$z_i'$は下式で算出できる。
$$ \begin{equation} \begin{split} z_i' &= \frac{z_i}{\cos \theta}\\[5px] &= \frac{z_i}{\cos 21.8}\\[5px] &= 1.077 z_i \end{split}\nonumber \end{equation} $$
照査断面位置の壁面地盤反力度$q_t'$は、三角形の相似より下式で算出できる。
$$ \begin{equation} \begin{split} q_t' &= \frac{\kappa_ℓ \cdot ℓ - z_i'}{\kappa_ℓ \cdot ℓ} q_t \\[5px] &= \frac{0.60 \times 6.462 - z_i'}{0.60 \times 6.462} \times 4.333\\[5px] &= 4.333 - 1.117 z_i' \end{split}\nonumber \end{equation} $$

壁面地盤反力の合力$Q_{tzi}$は台形の面積なので、下式で算出できる。

$$ \begin{equation} \begin{split} Q_{tzi} &= \frac{(q_t + q_t') \times z_i'}{2}\\[5px] &= \frac{(4.333 + 4.333 -1.117 z_i') \times z_i'}{2}\\[5px] &= 4.333 z_i' - 0.559 z_i'^2 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

このとき、土圧合力の水平成分、鉛直成分、作用位置は次のとおりとなる。

水平成分

$$ \begin{equation} \begin{split} Q_{iH} &= Q_{tzi} \cos \theta\\[5px] &= Q_{tzi} \cos 21.8\\[5px] &= 0.928 \cdot Q_{tzi} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

鉛直成分

$$ \begin{equation} \begin{split} Q_{iV} &= -Q_{tzi} \sin \theta\\[5px] &= -Q_{tzi} \sin 21.8\\[5px] &= -0.371 \cdot Q_{tzi} \end{split}\nonumber \end{equation} $$

作用位置

$$ \begin{equation} \begin{split} x_{zi} &= \frac{B_i}{2} + n_r \cdot y_{zi}\\[5px] &= \frac{0.100 z_i + 0.800}{2} + 0.400 \cdot y_{zi}\\[5px] &= 0.050 z_i + 0.400 + 0.400 y_{zi} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
①$z_i < ℓ_2$の場合
$$ \begin{equation} \begin{split} y_{zi} &= \frac{2 \cdot q_t + q_t'}{3(q_t + q_t')}z_i' \times \cos \theta\\[5px] &= \frac{2 \times 4.333 + 4.333 - 1.117z_i'}{3(4.333 + 4.333 - 1.117 z_i')}z_i' \times \cos 21.8\\[5px] &= \frac{12.999 - 1.117 z_i'}{25.997 - 3.352 z_i'}z_i' \times 0.928\\[5px] &= \frac{12.069 - 1.038 z_i'}{25.997 - 3.352 z_i'}z_i' \end{split}\nonumber \end{equation} $$
②$z_i = ℓ_2$の場合
$$ \begin{equation} \begin{split} y_{zi} &= h_i - \frac{1}{3}z_i' \times \cos \theta\\[5px] &= h_i - \frac{1}{3}z_i' \times \cos 21.8\\[5px] &= h_i - \frac{1}{3}z_i' \times 0.928\\[5px] &= h_i - 0.309 z_i' \end{split}\nonumber \end{equation} $$

高さを変化させて、それぞれの作用位置とモーメントを表計算で求める。

高さ$z_i' < ℓ_2$鉛直力水平力作用位置(アーム長)モーメント
$h_i$$z_i$$z_i'$or$Q_{tzi}$$Q_{iV}$$Q_{iH}$$x_{zi}$$y_{zi}$$M_x = Q_{iV} \cdot x_{zi}$$M_y = Q_{iH} \cdot y_{zi}$
(m)(m)(m)$z_i'=ℓ_2$(kN/m)(kN/m)(kN/m)(m)(m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.0001.0001.077$z_i' < ℓ_2$4.018-1.4923.7310.6610.527-0.9861.966
2.0002.0002.154$z_i' < ℓ_2$6.741-2.5036.2590.9511.128-2.3817.061
3.0003.0003.231$z_i' < ℓ_2$8.167-3.0337.5831.2931.857-3.92114.082
4.0003.6003.877$z_i' = ℓ_2$8.400-3.1197.7991.7002.800-5.30321.838
5.0003.6003.877$z_i' = ℓ_2$8.400-3.1197.7992.1003.800-6.55129.637
6.0003.6003.877$z_i' = ℓ_2$8.400-3.1197.7992.5004.800-7.79937.436

4-2-5. 荷重の集計

自重、衝突荷重、土圧、壁面地盤反力を3区分(鉛直力、水平力、モーメント)で集計する。

鉛直力

高さ
$h_i$
(m)
自重
$W_c$
(kN/m)
衝突荷重
$W_{gi}$
(kN/m)
土圧
$P_{iV}$
(kN/m)
壁面地盤反力
$Q_{iV}$
(kN/m)
合計
$\Sigma V$
(kN/m)
1.000 19.550 12.500 -0.049 -1.492 30.509
2.000 41.400 8.333 -0.196 -2.503 47.034
3.000 65.550 6.250 -0.442 -3.033 68.325
4.000 92.000 5.000 -0.785 -3.119 93.095
5.000 120.750 4.167 -1.227 -3.119 120.570
6.000 151.800 3.571 -1.767 -3.119 150.485

水平力

高さ
$h_i$
(m)
自重

(kN/m)
衝突荷重
$P_{gi}$
(kN/m)
土圧
$P_{iH}$
(kN/m)
壁面地盤反力
$Q_{iH}$
(kN/m)
合計
$\Sigma H$
(kN/m)
1.000 0.000 20.000 1.562 3.731 20.293
2.000 0.000 10.000 6.247 6.259 22.505
3.000 0.000 7.500 14.055 7.583 29.138
4.000 0.000 6.000 24.987 7.799 38.786
5.000 0.000 5.000 39.042 7.799 51.841
6.000 0.000 4.286 56.220 7.799 68.305

モーメント

高さ自重衝突荷重土圧壁面地盤反力合計
$h_i$$M_x$$M_y$$M_x$$M_y$$M_x$$M_y$$M_x$$M_y$$M_x$$M_y$
(m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.0004.3130.0005.62524.000-0.0290.521-0.9861.9668.92326.486
2.00017.9400.0007.50026.000-0.1514.164-2.3817.06122.90837.225
3.00041.9180.0008.43827.000-0.42014.055-3.92114.08246.01455.137
4.00077.2800.0009.00027.600-0.89033.315-5.30321.83880.08782.753
5.000125.0630.0009.37528.000-1.61565.069-6.55129.637126.271122.706
6.000186.3000.0009.64328.286-2.650112.440-7.79937.436185.494178.162

4-2-6. 応力度算出と判定

断面の幅$B_i$は、次式で算出できる。(4-1-1より再掲)
$$ \begin{equation} \begin{split} B_i &= 0.500 h_i + 0.800 - 0.400 h_i\\[5px] &= 0.100 h_i + 0.800 \end{split}\nonumber \end{equation} $$

高さごとに、鉛直力、水平力、モーメントを整理し、モーメントの合力を表計算で求める。

高さ鉛直力水平力モーメント
$h_i$$B_i$$\Sigma V$$\Sigma H$$\Sigma M_x$$\Sigma M_y$$M_a= \Sigma M_y - \Sigma M_x$
(m)(m)(kN/m)(kN/m)(kN・m/m)(kN・m/m)(kN・m/m)
1.0000.90030.50920.2938.92326.48617.564
2.0001.00047.03422.50522.90837.22514.317
3.0001.10068.32529.13846.01455.1379.122
4.0001.20093.09538.78680.08782.7532.666
5.0001.300120.57051.841126.271122.706-3.565
6.0001.400150.48568.305185.494178.162-7.332

無筋コンクリート部材断面に生じる圧縮(曲げ引張)応力度は下式で算出できる。(H24道擁143)

$$ \begin{equation} \begin{split} \sigma_c &= \frac{N}{A} \pm \frac{N \cdot e}{W} \\[5px] &= \frac{N}{1.000 \cdot B_i} \pm \frac{6 \cdot M_a}{1.000 \cdot B_i^2} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $\sigma_c$:コンクリート断面の縁応力度
  • $N$:軸方向力
    • $N= \Sigma V \times 1.000$
  • $A$:コンクリート全断面積(延長方向は1.0mとする。)
    • $A= B_i \times 1.000$
  • $e$:偏心距離
    • $\displaystyle e = \frac{M_a}{N}$
  • $W$:コンクリートの図心軸に関する断面係数
    • $\displaystyle W= \frac{1.000 B_i^2}{6}$

よって、縁応力度(圧縮:正、曲げ引張:負)を判定すると、下表のとおり。

高さ軸方向力モーメント縁応力度縁応力度判定
$h_i$$B_i$$N$$M_a$$\sigma_{c1}$$\sigma_{c2}$$\sigma_{c1}$$\sigma_{c2}$圧縮曲げ引張
(m)(m)(kN)(kN・m/m)(kN/m²)(kN/m²)(N/mm²)(N/mm²)≦6.75≧-0.34
1.0000.90030.50917.564-96.202163.999-0.0960.164OKOK
2.0001.00047.03414.317-38.870132.937-0.0390.133OKOK
3.0001.10068.3259.12216.879107.3490.0170.107OKOK
4.0001.20093.0952.66666.47088.6890.0660.089OKOK
5.0001.300120.570-3.565105.40380.0900.1050.080OKOK
6.0001.400150.485-7.332129.93585.0430.1300.085OKOK

無筋コンクリート部材断面に生じる平均せん断応力度は下式で算出できる。(H24道擁145)

$$ \begin{equation} \begin{split} \tau_m &= \frac{S}{B_i \cdot d} \\[5px] &= \frac{S}{B_i \times 1.000} \end{split}\nonumber \end{equation} $$
ここに、
  • $\tau_m$:部材断面に生じるコンクリートの平均せん断応力度
  • $S$:部材のせん断力
    • $S= \Sigma H \times 1.000$

よって、せん断応力度を判定すると、下表のとおり。

高させん断力せん断応力度せん断応力度判定
$h_i$$B_i$$S$$\tau_m$$\tau_m$$\tau_a$
(m)(m)(kN)(kN/m²)(N/mm²)≦0.33
1.0000.90020.29322.5470.023OK
2.0001.00022.50522.5050.023OK
3.0001.10029.13826.4890.026OK
4.0001.20038.78632.3220.032OK
5.0001.30051.84139.8780.040OK
6.0001.40068.30548.7890.049OK

エクセルブック

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