この記事では、道路に設置される「片持ばり式擁壁(重要度2)」のうち逆T型擁壁をエクセルで設計計算した結果をご紹介します。
📌NOTE |
2024年11月11日に計算ミスが発見されたため、当記事は全面的に書き直しています。ご注意ください。
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設計の考え方とフローチャート
これから解説する内容は、社団法人日本道路協会が平成24年7月に発行した道路土工擁壁工指針(以下、H24道擁という。)に基づいている。
今回の紹介する設計プロセスは「擁壁上の嵩上げ盛土なし、地下水なし、擁壁高さ8m以下、直接基礎、重要度2」が適用範囲である。(H24道擁p89)
下記の画像は、設計のフローチャートである。
1. 設計条件
1-1. 形状寸法
- 擁壁高:$H=7.000\ \mathrm{m}$
- たて壁高:$H'=6.400\ \mathrm{m}$
- 天端幅:$b=0.600\ \mathrm{m}$
- 底版幅:$B=4.000\ \mathrm{m}$
- 底版厚:$h_B=0.600\ \mathrm{m}$
- つま先版長:$B_t=0.800\ \mathrm{m}$(H24道擁p179)
- かかと版長:$B_k=2.600\ \mathrm{m}$
📌NOTE |
つま先版長$B_t$は、H24道擁p179に従い、擁壁底版幅$B=4.000$の1/5としています。
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1-2. 背面土砂形状
- のり面傾斜角:$\beta = 0\ \mathrm{° }$
- 擁壁天端と地表面のレベル差:$0.100 \ \mathrm{m}$
- 壁背面と鉛直面のなす角:$\alpha = 0\ \mathrm{° }$
- 仮想のり面傾斜角:$\beta’= 0\ \mathrm{° }$
1-3. 裏込め材料
- 裏込め土:砂質土
- せん断抵抗角:$\phi=30\ \mathrm{° }$(H24道擁p66)
- 単位体積重量:$\gamma_s=19\ \mathrm{kN/m^3}$(H24道擁p66)
- 粘着力:$c=0\ \mathrm{kN/m^2}$(H24道擁p66)
1-4. 支持地盤
- 土質:砂質地盤(密なもの)
- 底面と地盤の摩擦係数:$\mu=0.6$(H24道擁p70)
- 付着力:$c_B=0\ \mathrm{kN/m^2}$(H24道擁p70)
- 許容鉛直支持力度(常時):$q_a=300\ \mathrm{kN/m^2}$(H24道擁p68,69)
- 中間層に軟弱な土層あるいは液状化が懸念されるゆるい砂質土層:なし
1-5. 上載荷重と地下水位
- 上載荷重:$q=10\ \mathrm{kN/m^2}$(H24道擁p53)
- 上載荷重の開始位置:$b_q=2.000\ \mathrm{m}$
- 地下水位:なし
1-6. コンクリート規格
- 設計基準強度:$\sigma_{ck}=24\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p72)
- 単位体積重量:$\gamma_c=24.5\ \mathrm{kN/m^3}$(H24道擁p52)
- 鉄筋コンクリートの許容曲げ圧縮応力度:$8.00\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p79)
- 鉄筋コンクリートの許容せん断応力度:$\tau_{a1}=0.23\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p79)
1-7. 鉄筋規格
- 種類:SD345(H24道擁p74)
- 鉄筋の許容引張応力度:$180\ \mathrm{N/mm^2}$(H24道擁p85)
1-8. たて壁の鉄筋
- 主鉄筋:D32
- 配力鉄筋:D16
- 中間帯鉄筋:D16
- 純かぶり:$70\ \mathrm{mm}$(H24道擁p154)
- 主鉄筋中心までのかぶり:$120\ \mathrm{mm}$(算出は、「4-1-3. 応力度算出と判定」)
📌NOTE |
- 配筋間隔
- 配筋間隔は、H24道擁p154に、「鉄筋のあき」として記載されていますが、具体的な寸法の記載はありません。
- 具体的な例は、中部地方整備局のWebサイトの道路設計要領「第1章設計一般」p1-28に記載されています。(2023年7月時点)
- 中間帯鉄筋
- 中間帯鉄筋は、H24道擁に具体的な選定方法が記載されていません。
- このため、H24道擁p152に従い「道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編」の「7章 鉄筋コンクリート部材の構造細目」に準じて選定します。
- なお、平成24年3月発行の道路橋示方書・同解説までは、上記の「7章 鉄筋コンクリート部材の構造細目」」がありましたが、平成29年11月版は章立てが見直されたため、同じ記載内容は「7章 橋脚、橋台、フーチング及び橋台背面アプローチ部の設計」のp101に記載されています。
- 具体的には、「中間帯鉄筋は、配力鉄筋と同材質、同径とする。」とされています。
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1-9. つま先版の鉄筋
- 主鉄筋:D16
- 配力鉄筋:D13
- 中間帯鉄筋:D13
- 純かぶり:$70\ \mathrm{mm}$(H24道擁p154)
- 主鉄筋中心までのかぶり:$110\ \mathrm{mm}$(算出は、「4-2-3. 応力度算出と判定」)
1-10. かかと版の鉄筋
- 主鉄筋:D32
- 配力鉄筋:D16
- 中間帯鉄筋:D16
- 純かぶり:$70\ \mathrm{mm}$(H24道擁p154)
- 主鉄筋中心までのかぶり:$120\ \mathrm{mm}$(算出は、「4-4-3. 応力度算出と判定」)
1-11. 鉄筋コンクリート断面における定数
- ヤング係数比:$n=15$(H24道擁p77, 143)
- 断面幅:$b_0=1000\ \mathrm{mm}$
📌NOTE |
ヤング係数比に関する解説は、こちらの記事「ヤング係数比」をご覧ください。
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1-12. 重要度区分と要求性能
擁壁は、その重要度に応じて設計照査の方法(耐震設計の基本方針)を区分している。(H24道擁p42)
- 重要度1:万が一損傷すると交通機能に著しい影響を与える場合、あるいは隣接する施設に重大な影響を与える場合
- 重要度2:重要度1に該当するもの以外
この設計計算例では、「重要度2」とする。
擁壁の要求性能とは、「擁壁の壊れにくさ」を定義しており、例えば「性能1」であれば、大震災後でも、健全性が保たれ道路を通行することができるほど壊れにくいということである。
要求性能は、3段階に区分されている。
- 性能1:擁壁としての健全性を損なわない
- 性能2:損傷が限定的なものにとどまり、擁壁としての機能の回復が速やかに行い得る
- 性能3:損傷が擁壁として致命的とならない
この設計計算例では、重要度より要求性能を下記のとおり決定する。(H24道擁p44)
- 常時の作用:性能1
- 降雨の作用:性能1
- レベル1地震動の作用:性能2
- レベル2地震動の作用:性能3
📌NOTE |
- 公益社団法人日本道路協会のWebサイトに「道路土工構造物技術基準・同解説(平成29年3月)」出版後の道路土工指針等の取扱いについて記載されています。
- 同文書の3ページ目には、擁壁工に関する読み替えの例が記載されています。
- 内容は、「擁壁の要求性能」、「擁壁の限界状態」について読み替えの例となっています。
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1-13. 設計方法と照査方法
設計方法は、「H24道擁の第5章に示した慣用的な設計方法(慣用法)」とする。
照査は、「擁壁の安定性」、「部材の安全性」、「排水工、付帯工」の3つに分けて行う。(H24道擁p88)
1-13-1. 擁壁の安定性
「擁壁の安定性」は、さらに「擁壁自体の安定性」、「背面盛土及び基礎地盤を含む全体としての安全性」に分けられる。
① 擁壁自体の安定性の照査
「擁壁自体の安定性」について、H24道擁の第5章に示した慣用的な設計方法・施工方法に従えば、所要の性能を確保するとされており、例えば「常時の作用に対して性能1」を満足するとみなしてよいとされている。(H24道擁p88)
また、擁壁高$H \leqq 8\mathrm{m}$の場合、「常時の作用で照査」すれば、「レベル1地震動の作用に対して性能2」、「レベル2地震動の作用に対して性能3」を満足するとされている。(H24道擁p89)
よって、今回は「擁壁高$H \leqq 8\mathrm{m}$」かつ、「重要度2」であるため、「レベル1地震動の作用」と「レベル2地震動の作用」に対する安定性照査は不要となる。
さらに、今回は「地下水位がないこと」、および「排水工を適切に設置すること」を前提とし、「水圧の影響を考慮しない」こととする。(H24道擁p55)
このため、「降雨の作用」については、通常、常時の作用における荷重の一項目として扱うが、今回はその荷重がないため、降雨に作用に対する照査を省略する。(H24道擁p49,88)
② 背面盛土及び基礎地盤を含む全体としての安定性
「背面盛土及び基礎地盤を含む全体としての安定性」については、「1-4.支持地盤」に示したとおり、検討を要する層がないため、検討は不要となる。(H24道擁p111)
1-13-2. 部材の安全性
部材の安全性についても、擁壁の安定性と同様に、H24道擁の第5章に示した慣用的な設計方法・施工方法に従えば、所要の性能を確保するとされている。
擁壁を構成する部材の定義は、「躯体、底版及び杭等」とされている。(H24道擁p142)
片持ばり式擁壁の場合、部材の安全性照査は「たて壁」、「つま先版」、「かかと版」であり、結合部を固定端を有する片持ばりとして設計・照査する。(H24道擁p177)
1-13-3. 排水工、付帯工
排水工は、上述の降雨による照査が不要となるようH24道擁p203の「5-9 排水工」に従い適切に設計するとこととする。
付帯工は、H24道擁p212の「5-10 付帯工」に従い設計することとする。
1-13-4. まとめ
まとめると、今回の設計例での設計方法と必要な照査は以下のとおり。
- 設計方法:H24道擁の第5章に示した慣用的な設計方法(慣用法)
- 照査方法
- 擁壁の安定性の照査
- 擁壁自体の安定性の照査
- 常時の作用で照査:要
- 降雨の作用で照査:不要
- レベル1地震動の$k_h$で照査:不要
- レベル2地震動の$k_h$で照査:不要
- 背面盛土及び基礎地盤を含む全体としての安定性の検討:不要
- 部材の安全性の照査:要
- 排水工、付帯工:適切に設計する
1-14. 照査のおける荷重の組み合わせ
照査は、「地震時」が不要であるため、「常時」のみ行うこととする。
下表のとおりの荷重の組み合わせとする。(H24道擁p51)
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自重 |
上載荷重 |
土圧 |
地震 |
常時 |
有り |
有り |
有り |
- |
地震時 |
- |
- |
- |
- |
📌NOTE |
- 一般には、常時の作用に対しては「自重+載荷重+土圧」の組み合わせに加えて、「自重+土圧」の組み合わせについても設計を行うとされています。(H24道擁p51)
- これは、載荷重を無視すると、照査項目によっては、危険側に推移することがあるからです。
- ただ、この設計例では、エクセルで上載荷重を「10」から「0」にしても照査項目のすべてが許容値内になることが確認できます。
- 本来は「自重+土圧」の組み合わせも照査の対象にするのが正しいのですが、エクセル上で簡単に確認できるため、省略しています。
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1-15. 照査における許容値
照査に用いる許容値は以下のとおりとする。(許容鉛直支持力度は「1-4. 支持地盤」より再掲)
| 常時 | 地震時 |
転倒に対する安定条件(H24道擁p118) | $\displaystyle |e| \leqq \frac{B}{6}$ | - |
滑動に対する安全率(H24道擁p113) | 1.5 | - |
許容鉛直支持力度(H24道擁p68,69,78) | 300 kN/m² | - |
許容変位(H24道擁p110) | 省略 | - |
2. 設計に用いる荷重
2-1. 躯体自重
擁壁を区分し、それぞれの面積、重心と擁壁前面・底面からの距離、およびモーメントを求める。
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幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
$Ax$ |
$Ay$ |
① |
0.600 |
6.400 |
3.840 |
1.100 |
3.800 |
4.224 |
14.592 |
② |
0.600 |
0.600 |
0.360 |
1.100 |
0.300 |
0.396 |
0.108 |
③ |
0.800 |
0.600 |
0.480 |
0.400 |
0.300 |
0.192 |
0.144 |
④ |
2.600 |
0.600 |
1.560 |
2.700 |
0.300 |
4.212 |
0.468 |
Σ |
|
|
6.240 |
|
|
9.024 |
15.312 |
擁壁全体の重心位置(水平方向の底面前面からの距離)は、下式により求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x_c &= \frac{\Sigma A x}{\Sigma A}\\[5px]
&= \frac{9.024}{6.240}\\[5px]
&= 1.446 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
y_c &= \frac{\Sigma A y}{\Sigma A}\\[5px]
&= \frac{15.312}{6.240}\\[5px]
&= 2.454 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
自重$W_c$は、擁壁の断面積$A$に、コンクリートの単位体積重量$\gamma_c$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_c &= \Sigma A \cdot \gamma_c\\[5px]
&= 6.240 \cdot 24.5\\[5px]
&= 152.880 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
2-2. 背面土砂
背面土砂は、かかと版上の矩形部とする。
|
幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
$Ax$ |
$Ay$ |
① |
2.600 |
6.300 |
16.380 |
2.700 |
3.750 |
44.226 |
61.425 |
Σ |
|
|
16.380 |
|
|
44.226 |
61.425 |
背面土砂の重心(水平方向の底面前面からの距離)は、下式により求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x_s &= \frac{\Sigma A x}{\Sigma A}\\[5px]
&= \frac{44.226}{16.380}\\[5px]
&= 2.700 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
y_s &= \frac{\Sigma A y}{\Sigma A}\\[5px]
&= \frac{61.425}{16.380}\\[5px]
&= 3.750 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
背面土砂重量$W_s$は、断面積$A$に、背面土砂(裏込め土)の単位体積重量$\gamma_s$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_s &= \Sigma A \cdot \gamma_s\\[5px]
&= 16.380 \cdot 19.0\\[5px]
&= 311.220 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
2-3. 載荷重
地表面の載荷重$N$は、下式により求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
N &= (B_k - b_q) \cdot q\\[5px]
&=(2.600 - 2.000) \cdot 10\\[5px]
&= 6.000 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
地表面の載荷重の重心(水平方向の底面前面からの距離)は、中点なので下式で求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x_N &= B - \frac{B_k - b_q}{2}\\[5px]
&= 4.000 - \frac{2.600 - 2.000}{2}\\[5px]
&= 3.700 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
2-4. 土圧
主働土圧は、試行くさび法によって算出する。(H24道擁p100)
擁壁上の盛土が平坦な場合(嵩上げ盛土がない場合)、主働土圧合力は次式で算出できる。(H24道擁p101)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P=\frac{W \cdot \sin(\omega - \phi)}{\cos(\omega - \phi - \alpha - \delta)}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W = \frac{b_u \cdot H_s}{2}\cdot \gamma_s + q \cdot b_u
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
b_u= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan \alpha)\cdot H_s
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- $P$:主働土圧合力(kN/m)
- $W$:土くさび重量(載荷重を含む)(kN/m)
- $b_u$:土塊の幅(m)
- $\omega$:仮定したすべり面と水平面のなす角(° )
- $\phi$:裏込め土のせん断抵抗角(° )$\phi=30$
- $\alpha$:壁背面と鉛直面のなす角(° ) $\alpha= 0$
- $\beta'$:仮想のり面傾斜角(° ) $\beta'= 0$
- $\delta$:壁面摩擦角(° )$\delta = \beta' = 0$(H24道擁p99)
📌NOTE |
- H24道擁p101には、上記の算出方法のほかに、主働土圧係数$K_A$を用いた算出方法が記載されています。
- 今回の計算例における設計条件では、主働土圧係数$K_A$を用いた算出方法が適用可能です。
- ただ、多くの土木系のソフトウェアでは、主働土圧係数$K_A$を用いた算出方法を採用していません。
- この記事は、技術者の学習用として視点を重視し、土木技術者が土木系ソフトウェアの出力結果を読み解けるよう配慮していますので、主働土圧係数$K_A$を用いた算出方法を採用しないこととしました。
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よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P &=\frac{W \cdot \sin(\omega - \phi)}{\cos(\omega - \phi - \alpha - \delta)}\\[5px]
&=\frac{W \cdot \sin(\omega - 30)}{\cos(\omega - 30 - 0 - 0)}\\[5px]
&= \frac{W \cdot \sin(\omega - 30)}{\cos(\omega - 30)}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W &= \frac{b_u \cdot H_s}{2} \cdot \gamma_s + q \cdot b_u\\[5px]
&= \frac{b_u \cdot 6.900}{2} \cdot 19 + 10 \cdot b_u\\[5px]
&= 75.550 \cdot b_u
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
b_u &= (\frac{1}{\tan\omega} +\tan \alpha)\cdot H_s \\[5px]
&= (\frac{1}{\tan\omega}+ \tan 0)\cdot 6.900\\[5px]
&= (\frac{1}{\tan\omega}+0)\cdot 6.900\\[5px]
&= \frac{6.900}{\tan\omega}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
すべり角$\omega$を変化させて、主働土圧合力$P_A$の最大値を求める。
上の式を用いて、表計算すると下記のとおりとなる。
すべり角 $\omega$ (° ) |
上載幅 $b_u$ (m) |
土くさび重量 $W$ (kN/m) |
主働土圧合力 $P$ (kN/m) |
57 |
4.481 |
338.533 |
172.491 |
58 |
4.312 |
325.741 |
173.200 |
59 |
4.146 |
313.226 |
173.624 |
60 |
3.984 |
300.970 |
173.765 |
61 |
3.825 |
288.959 |
173.624 |
62 |
3.669 |
277.177 |
173.200 |
63 |
3.516 |
265.613 |
172.491 |
よって、土圧合力が最大となるすべり角は
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\omega = 60 \ \mathrm{° }
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
その時の主働土圧合力は
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P_A=173.765 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
このとき、土圧合力の水平成分、鉛直成分、作用位置は次のとおりとなる。
水平成分
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P_{H} &= P_A \cdot \cos(\alpha + \delta)\\[5px]
&= 173.765 \times \cos(0 + 0)\\[5px]
&= 173.765\ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
鉛直成分
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P_{V} &= P_A \cdot \sin(\alpha + \delta)\\[5px]
&= 173.765 \times \sin(0 + 0)\\[5px]
&= 0.000\ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
作用位置
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x_A &= B\\[5px]
&= 4.000\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
y_A &= \frac{H_s}{3} \\[5px]
&= \frac{6.900}{3}\\[5px]
&= 2.300\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
3. 擁壁の安定性の照査
擁壁自体の安定性を照査する。
3-1. 作用力の集計
照査にあたり、作用力を集計します。
躯体自重、背面土砂、載荷重、および土圧について、上記のとおり鉛直力と水平力をそれぞれ算出しましたので、作用位置までの距離を乗じて、モーメントを算出します。
なお、最も不利な条件で照査するため、照査対象によって、集計方法を2種類に分けます。
まず、転倒に対する照査、および滑動に対する照査は、載荷重を除いて集計します。(H24道擁p53)
| 鉛直力 | 水平力 | 作用位置(アーム長) | モーメント |
| $V$ | $H$ | $x$ | $y$ | $M_x = V \cdot x$ | $M_y = H \cdot y$ |
| (kN/m) | (kN/m) | (m) | (m) | (kN・m/m) | (kN・m/m) |
躯体自重 | 152.880 | ― | 1.446 | ― | 221.088 | 0.000 |
背面土砂 | 311.220 | ― | 2.700 | ― | 840.294 | 0.000 |
載荷重 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
土圧 | 0.000 | 173.765 | ― | 2.300 | 0.000 | 399.660 |
合計 | 464.100 | 173.765 | ― | ― | 1061.382 | 399.660 |
次に、支持に対する照査はすべての作用力を集計します。
| 鉛直力 | 水平力 | 作用位置(アーム長) | モーメント |
| $V$ | $H$ | $x$ | $y$ | $M_x = V \cdot x$ | $M_y = H \cdot y$ |
| (kN/m) | (kN/m) | (m) | (m) | (kN・m/m) | (kN・m/m) |
躯体自重 | 152.880 | ― | 1.446 | ― | 221.088 | 0.000 |
背面土砂 | 311.220 | ― | 2.700 | ― | 840.294 | 0.000 |
載荷重 | 6.000 | ― | 3.700 | ― | 22.200 | 0.000 |
土圧 | 0.000 | 173.765 | ― | 2.300 | 0.000 | 399.660 |
合計 | 470.100 | 173.765 | ― | ― | 1083.582 | 399.660 |
3-2. 転倒に対する照査
まず、許容偏心距離$e_a$を算出する。
「1. 設計条件」で定めた「転倒に対する安定条件」より、次のとおり求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
e_a &= \frac{B}{6} \\[5px]
&= \frac{4.000}{6}\\[5px]
&= 0.667\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
次に「作用力の合力位置$d$」を求める。
作用力の合力位置は、底面前面から合力の作用点までの水平距離であり、次のとおり求められる。(H24道擁p117)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
d &= \frac{\Sigma M_x - \Sigma M_y}{\Sigma V} \\[5px]
&= \frac{1061.382 - 399.660}{464.100}\\[5px]
&= 1.426\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
作用力の偏心距離$e$は、底面中心から作用力の合力位置まで距離であるため、次のとおり求められる。(H24道擁p118)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
e &= \frac{B}{2} - d \\[5px]
&= \frac{4.000}{2} - 1.426\\[5px]
&= 0.574\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
以上より、作用力の偏心距離$e=0.574$、許容偏心距離$e_a=0.667$なので、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
|e|=0.574 \leqq 0.667 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
よって、転倒に対しては安全である。
3-3. 滑動に対する照査
下式のとおり、滑動に対する抵抗力を滑動力で除して、安全率$F_s$を算出する。(H24道擁p113)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
F_s = \frac{\Sigma V \cdot \mu + c_B \cdot B'}{\Sigma H}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
F_s &= \frac{\Sigma V \cdot \mu + c_B \cdot B'}{\Sigma H} \\[5px]
&= \frac{464.100 \times 0.6 + 0 \times 2.852}{173.765}\\[5px]
&= 1.603
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
「1. 設計条件」で定めたとおり、常時においては、滑動に対する許容安全率$F_{sa}=1.5$である。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
F_s=1.603 \geqq 1.5 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
よって、滑動に対しては安全である。
3-4. 支持に対する照査
まず「作用力の合力位置$d$」を求める。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
d &= \frac{\Sigma M_x - \Sigma M_y}{\Sigma V} \\[5px]
&= \frac{1083.582 - 399.660}{470.100}\\[5px]
&= 1.455\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
次に、「作用力の偏心距離$e$」を求める。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
e &= \frac{B}{2} - d \\[5px]
&= \frac{4.000}{2} - 1.455\\[5px]
&= 0.545\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
底面幅$B=4.000 \mathrm{m}$の中心から1/6の距離は、$4.000\times 1/6= 0.667 \mathrm{m}$である。
この値を2倍すると底面幅の1/3(ミドルサード)である。
作用力の偏心距離$e=0.545 \mathrm{m}$は、$0.667\mathrm{m}$以下であるため、作用力の合力位置は、底面幅中央の1/3(ミドルサード)内にある。
このとき、地盤反力は台形分布となり、その擁壁底面端部における地盤反力度$q_1$、$q_2$は次式で算出できる。(H24道擁p120)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
q_1 &= \frac{\Sigma V}{B} \left( 1+ \frac{6 \cdot e}{B} \right) \\[5px]
&= \frac{470.100}{4.000} \left( 1+ \frac{6 \cdot 0.545}{4.000} \right) \\[5px]
&= 213.629\ \mathrm{kN/m^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
q_2 &= \frac{\Sigma V}{B} \left( 1- \frac{6 \cdot e}{B} \right) \\[5px]
&= \frac{470.100}{4.000} \left( 1- \frac{6 \cdot 0.545}{4.000} \right) \\[5px]
&= 21.421\ \mathrm{kN/m^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
「1. 設計条件」で定めたとおり、常時においては、許容鉛直支持力度$q_a=300$である。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
q_1=213.629 \leqq 300 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px]
q_2=21.421 \leqq 300 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
よって、支持に対しては安全である。
4. 部材の安全性の照査
4-1. たて壁
4-1-1. 設計に用いる荷重
4-1-1-1. 自重
擁壁を図のとおりの断面に区分し、面積と重心を求める。
重心は、たて壁結合部の中心から距離とし、水平方向$x$、鉛直方向$y$とする。
|
幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
① |
0.600 |
6.400 |
3.840 |
0.000 |
3.200 |
自重$W_c$は、断面積$A$に、コンクリートの単位体積重量$\gamma_c$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_c &= \Sigma A \cdot \gamma_c\\[5px]
&= 3.840 \cdot 24.5\\[5px]
&= 94.080 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-1-1-2. 土圧
主働土圧は、試行くさび法によって算出する。(H24道擁p100)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P=\frac{W \cdot \sin(\omega - \phi)}{\cos(\omega - \phi - \alpha - \delta)}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W = \frac{b_u \cdot H_s}{2}\cdot \gamma_s + q \cdot (b_u - b_q)
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
b_u= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan \alpha)\cdot H_s
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- $P$:主働土圧合力(kN/m)
- $W$:土くさび重量(載荷重を含む)(kN/m)
- $b_u$:土塊の幅(m)
- $b_q$:上載荷重の開始位置(m)$b_q=2.000$
- $\omega$:仮定したすべり面と水平面のなす角(° )
- $\phi$:裏込め土のせん断抵抗角(° )$\phi=30$
- $\alpha$:壁背面と鉛直面のなす角(° ) $\alpha= 0$
- $\beta'$:仮想のり面傾斜角(° ) $\beta'= 0$
- $\delta$:壁面摩擦角(° )$\delta = 2 \phi/3 = 2 \times 30/3 = 20$(H24道擁p99)
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P &=\frac{W \cdot \sin(\omega - \phi)}{\cos(\omega - \phi - \alpha - \delta)}\\[5px]
&=\frac{W \cdot \sin(\omega - 30)}{\cos(\omega - 30 - 0 - 20)}\\[5px]
&= \frac{W \cdot \sin(\omega - 30)}{\cos(\omega - 50)}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W &= \frac{b_u \cdot H_s}{2} \cdot \gamma_s + q \cdot (b_u - b_q)\\[5px]
&= \frac{b_u \cdot 6.300}{2} \cdot 19 + 10 \cdot (b_u - 2.000)\\[5px]
&= 69.850 \cdot b_u - 20.000
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
b_u &= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan \alpha) \cdot H_s \\[5px]
&= (\frac{1}{\tan\omega} + \tan 0)\cdot 6.300\\[5px]
&= (\frac{1}{\tan\omega} + 0)\cdot 6.300\\[5px]
&= \frac{6.300}{\tan\omega}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
すべり角$\omega$を変化させて、主働土圧合力$P$の最大値を求める。
上の式を用いて、表計算すると下記のとおりとなる。
$\omega$ |
$b_u$ |
$W$ |
$P$ |
53 |
4.747 |
311.605 |
121.921 |
54 |
4.577 |
299.719 |
122.204 |
55 |
4.411 |
288.130 |
122.234 |
56 |
4.249 |
276.821 |
122.019 |
57 |
4.091 |
265.775 |
121.565 |
よって、土圧合力が最大となるすべり角は
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\omega = 55 \ \mathrm{° }
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
その時の主働土圧合力は
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P_A=122.234 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
このとき、土圧合力の水平成分、鉛直成分、作用位置は次のとおりとなる。
水平成分
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P_H &= P_A \cdot \cos(\alpha + \delta)\\[5px]
&= 122.234 \times \cos(0 + 20)\\[5px]
&= 114.862\ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
鉛直成分
$$
\begin{equation}
\begin{split}
P_V &= P_A \cdot \sin(\alpha + \delta)\\[5px]
&= 122.234 \times \sin(0 + 20)\\[5px]
&= 41.807\ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
作用位置
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x_A &= \frac{b}{2} \\[5px]
&= \frac{0.600}{2}\\[5px]
&= 0.300\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
y_A &= \frac{H_s}{3}\\[5px]
&= \frac{6.300}{3}\\[5px]
&= 2.100\ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-1-2. 作用力の集計
照査にあたり、作用力を集計する。
自重と土圧について、上記のとおり鉛直力と水平力をそれぞれ算出しましたので、作用位置までの距離を乗じて、モーメントを算出する。
| 鉛直力 | 水平力 | 作用位置(アーム長) | モーメント |
| $V$ | $H$ | $x$ | $y$ | $M_x = V \cdot x$ | $M_y = H \cdot y$ |
| (kN/m) | (kN/m) | (m) | (m) | (kN・m/m) | (kN・m/m) |
躯体自重 | 94.080 | 0.000 | 0.000 | ― | 0.000 | 0.000 |
土圧 | 41.807 | 114.862 | 0.300 | 2.100 | 12.542 | 241.211 |
合計 | 135.887 | 114.862 | ― | ― | 12.542 | 241.211 |
断面計算において土圧の鉛直成分は無視するので、モーメントは下記のとおり。(H24道擁p180)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
M = 241.211\ \mathrm{kN・m/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-1-3. 応力度算出と判定
4-1-3-1. 主鉄筋の寸法と鉄筋量
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D32(1-8.たて壁の鉄筋より)
- 公称直径:$31.8 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
- 公称断面積:$794.2 \mathrm{mm^2/本}$(H24道擁p74)
配筋間隔は、
- $250 \mathrm{mm}$(1-8.たて壁の鉄筋より)
であるため、1mあたりの本数を計算すると、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\frac{1000}{250} = 4\ \mathrm{本/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
以上より、主鉄筋の断面鉄筋量$A_s$(幅1mあたり)は、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
A_s= 794.2 \times 4 = 3176.8\ \mathrm{mm^2/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
となる。
4-1-3-2. 配力鉄筋の寸法と鉄筋量
配力鉄筋は、軸方向鉄筋量の1/6以上となる寸法および配筋間隔で設計する。(H24道擁p156)
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D16
- 公称直径:$15.9 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
- 公称断面積:$198.6 \mathrm{mm^2/本}$(H24道擁p74)
配筋間隔は、
とするため、1mあたりの本数を計算すると、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\frac{1000}{250} = 4\ \mathrm{本/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
以上より、配力鉄筋の断面鉄筋量$A_s$(幅1mあたり)は、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
A_s= 198.6 \times 4 = 794.4\ \mathrm{mm^2/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
となる。(軸方向鉄筋量$3176.8\mathrm{mm^2/m}$の1/6以上を満足)
4-1-3-3. 中間帯鉄筋の寸法
中間帯鉄筋は配力鉄筋と同径で設計する。(H24道擁p152,156,H29道路橋示方書IV下部構造編p101)
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D16
- 公称直径:$15.9 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
4-1-3-4. かぶりと有効高
たて壁の背面側に設置される鉄筋のかぶり(純かぶり)は、土中に設置される側となるため、
- 純かぶり:$70 \mathrm{mm}$(H24道擁p154)
とする。
主鉄筋中心までのかぶりは、下式で求める。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
&\frac{主鉄筋の径}{2} + 配力鉄筋の径 + 中間帯鉄筋の径 + 純かぶり\\[5px]
&= \frac{31.8}{2} + 15.9 + 15.9 + 70\\[5px]
&= 117.7\\[5px]
&\fallingdotseq 120\ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここで、天端幅は$0.600 \mathrm{m} = 600 \mathrm{mm}$なので、たて壁の断面計算上の有効高$d$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
d &= 600 - 120\\[5px]
&= 480\ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-1-3-5. 中立軸比
まず、引張鉄筋比$p$を求める。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
p &= \frac{A_s}{b_0 \cdot d}\\[5px]
&= \frac{3176.8}{1000 \cdot 480}\\[5px]
&= 0.0066
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- 主鉄筋の鉄筋量:$A_s=3176.8 \ \mathrm{mm^2/m}$
- 有効高:$d=480 \ \mathrm{mm}$
- 断面幅:$b_0=1000 \ \mathrm{mm}$
中立軸比$k$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
k &= \sqrt{2np+(np)^2}-np\\[5px]
&= \sqrt{2 \times 15 \times 0.0066 +(15 \times 0.0066)^2}-15 \times 0.0066\\[5px]
&= 0.357
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- ヤング係数比:$n=15$(1-11. 鉄筋コンクリート断面における定数より)
なお、計算上必要はないが、中立軸の位置$x$は、次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x &= kd\\[5px]
&= 0.357 \times 480\\[5px]
&= 171 \ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-1-3-6. 圧縮応力度、引張応力度
圧縮応力度 $\sigma_c$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_c &= \frac{2M}{k \cdot j \cdot b_o \cdot d^2}\\[5px]
&= \frac{2 \times 241.211 \times 1000 \times 1000}{0.357 \times 0.881 \times 1000 \times 480^2}\\[5px]
&= 6.653 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- $j$:圧縮合力の作用距離と有効高さの比
- $j=1-k/3=1-0.357/3 = 0.881$
引張応力度 $\sigma_s$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_s &= \frac{M}{A_s \cdot j \cdot d}\\[5px]
&= \frac{241.211 \times 1000 \times 1000}{3176.8 \times 0.881 \times 480}\\[5px]
&= 179.568 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
「1. 設計条件」で定めたとおり、鉄筋コンクリートの許容曲げ圧縮応力度$8 \mathrm{N/mm^2}$、鉄筋の許容引張応力度$180 \mathrm{N/mm^2}$である。
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_c=6.653 \leqq 8 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px]
\sigma_s=179.568 \leqq 180 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
圧縮および引張に対しては安全である。
📌NOTE |
- 引張応力度は、許容応力度にかなり近い値となっています。
- もし、擁壁上部に防護柵を設置すると、NGとなりますので、擁壁の断面形状や鉄筋の規格を変更しなければいけません。
|
4-1-3-7. せん断応力度
せん断応力度 $\tau_m$ は次式で算出できる(H24道擁p145)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\tau_m &= \frac{S_h}{b_o \cdot d}\\[5px]
&= \frac{114.862 \times 1000}{1000 \times 480}\\[5px]
&= 0.239 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
許容せん断応力度は、部材断面の有効高による補正係数(H24道擁p79)と、軸方向鉄筋比による補正係数(H24道擁p80)を用いて算出する。
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\tau_m=0.239 \leqq 0.387 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px]
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
せん断に対しては安全である。
4-2. つま先版(曲げモーメント)
つま先版とたて壁との結合部を曲げモーメントに対する照査断面とする。(H24道擁p183)
4-2-1. 設計に用いる荷重
4-2-1-1. 自重
擁壁を図のとおりの断面に区分し、面積と重心を求める。
重心は、つま先版結合部の中心から距離とし、水平方向$x$、鉛直方向$y$とする。
|
幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
① |
0.800 |
0.600 |
0.480 |
0.400 |
- |
自重$W_c$は、断面積$A$に、コンクリートの単位体積重量$\gamma_c$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_c &= \Sigma A \cdot \gamma_c\\[5px]
&= 0.480 \cdot 24.5\\[5px]
&= 11.760 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-2-1-2. 地盤反力
地盤反力による鉛直力$N$と作用位置$x$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
N &= \frac{1}{2}(q_1 + q_2) \cdot B_t\\[5px]
&= \frac{1}{2}(213.629 + 175.187) \cdot 0.800\\[5px]
&= 155.527 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x &= \frac{2 \cdot q_1 + q_2}{3 \cdot (q_1 + q_2)} \cdot B_t\\[5px]
&= \frac{2 \cdot 213.629 + 175.187}{3 \cdot (213.629 + 175.187)} \cdot 0.800\\[5px]
&= 0.413 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- $q_1$:つま先版前面位置の地盤反力度
- $q_1 = 213.629 \ \mathrm{kN/m^2}$
- $q_2$:つま先版設計位置の地盤反力度
- $q_2 = 175.187 \ \mathrm{kN/m^2}$
- $B_t$:地盤反力作用幅
- $B_t = 0.800 \ \mathrm{m}$
📌NOTE |
- つま先版設計位置の地盤反力度$q_2=175.187$は、比例計算により計算しています。
- 計算方法は、エクセルを参照してください。
|
4-2-2. 作用力の集計
照査にあたり、作用力を集計する。
自重と地盤反力について、上記のとおり鉛直力をそれぞれ算出しましたので、作用位置までの距離を乗じて、モーメントを算出する。
つま先版上の土砂の上載荷重は無視する。(H24道擁p182)
また、モーメントを右回り正とするため、左回りになる自重は負となる。
| 鉛直力 | 水平力 | 作用位置(アーム長) | モーメント |
| $V$ | $H$ | $x$ | $y$ | $M_x = V \cdot x$ | $M_y = H \cdot y$ |
| (kN/m) | (kN/m) | (m) | (m) | (kN・m/m) | (kN・m/m) |
自重 | -11.760 | 0.000 | 0.400 | ― | -4.704 | 0.000 |
地盤反力 | 155.527 | 0.000 | 0.413 | ― | 64.261 | 0.000 |
合計 | 143.767 | 0.000 | ― | ― | 59.557 | 0.000 |
4-2-3. 応力度算出と判定
4-2-3-1. 主鉄筋の寸法と鉄筋量
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D16(1-9.つま先版の鉄筋より)
- 公称直径:$15.9 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
- 公称断面積:$198.6 \mathrm{mm^2/本}$(H24道擁p74)
配筋間隔は、
- $250 \mathrm{mm}$(1-9.つま先版の鉄筋より)
であるため、1mあたりの本数を計算すると、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\frac{1000}{250} = 4\ \mathrm{本/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
以上より、主鉄筋の断面鉄筋量$A_s$(幅1mあたり)は、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
A_s= 198.6 \times 4 = 794.4\ \mathrm{mm^2/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
となる。
📌NOTE |
- 主鉄筋は、軸方向鉄筋となります。
- 軸方向鉄筋の直径の最小値や、配置間隔の考え方は、H24道擁に明記されておらず、p152に従い、道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編に準じることとなっています。
- H29道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編のp73には、軸方向鉄筋の直径は「16mm以上かつ51mm以下を標準とする」と記されています。
- また、配置間隔はp68に「300mm以下」とされています。実際の配置間隔は一般的に、125mm、250mmのどちらかを採用して設計することが多いと思います。
- 配置間隔はできるだけ広くした方が、コンクリート打設時にコンクリート内に空隙が生じにくくなるため、250mmを積極的に採用すべきでしょう。
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4-2-3-2. 配力鉄筋の寸法と鉄筋量
配力鉄筋は、軸方向鉄筋量の1/6以上となる寸法および配筋間隔で設計する。(H24道擁p156)
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D13
- 公称直径:$12.7 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
- 公称断面積:$126.7 \mathrm{mm^2/本}$(H24道擁p74)
配筋間隔は、
とするため、1mあたりの本数を計算すると、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\frac{1000}{250} = 4\ \mathrm{本/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
以上より、配力鉄筋の断面鉄筋量$A_s$(幅1mあたり)は、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
A_s= 126.7 \times 4 = 506.8\ \mathrm{mm^2/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
となる。(軸方向鉄筋量$794.4\mathrm{mm^2/m}$の1/6以上を満足)
📌NOTE |
- 配力鉄筋の直径の最小値や、配筋間隔の考え方は、H24道擁に明記されておらず、p152に従い、道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編に準じることとなっています。
- H29道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編のp101には、軸方向鉄筋の直径は「13mm以上の異形棒鋼」と記されています。
- 同ページには、「鉛直方向鉄筋の1/3以上の鉄筋」を配置するよう記載されていますが、H24道擁p156に「軸方向鉄筋量の1/6以上」を配置するよう記載されていますので、H24道擁を採用しています。
- 配筋間隔は、H29道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編のp101に「300mm以下」とされています。実際の配置間隔は一般的に、125mm、250mmのどちらかを採用して設計することが多いと思います。
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4-2-3-3. 中間帯鉄筋の寸法
中間帯鉄筋は配力鉄筋と同径で設計する。(H24道擁p152,156,H29道路橋示方書IV下部構造編p101)
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D13
- 公称直径:$12.7 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
4-2-3-4. かぶりと有効高
つま先版に設置される鉄筋のかぶり(純かぶり)は、土中に設置されるため、
- 純かぶり:$70 \mathrm{mm}$(H24道擁p154)
とする。
主鉄筋中心までのかぶりは、下式で求める。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
&\frac{主鉄筋の径}{2} + 配力鉄筋の径 + 中間帯鉄筋の径 + 純かぶり\\[5px]
&= \frac{15.9}{2} + 12.7 + 12.7 + 70\\[5px]
&= 103.4\\[5px]
&\fallingdotseq 110\ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここで、底版厚は$0.600 \mathrm{m} = 600 \mathrm{mm}$なので、つま先版の断面計算上の有効高$d$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
d &= 600 - 110\\[5px]
&= 490\ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-2-3-5. 中立軸比
まず、引張鉄筋比$p$を求める。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
p &= \frac{A_s}{b_0 \cdot d}\\[5px]
&= \frac{794.4}{1000 \cdot 490}\\[5px]
&= 0.0016
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- 主鉄筋の鉄筋量:$A_s=794.4 \ \mathrm{mm^2/m}$
- 有効高:$d=490 \ \mathrm{mm}$
- 断面幅:$b_0=1000 \ \mathrm{mm}$
中立軸比$k$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
k &= \sqrt{2np+(np)^2}-np\\[5px]
&= \sqrt{2 \times 15 \times 0.0016 +(15 \times 0.0016)^2}-15 \times 0.0016\\[5px]
&= 0.198
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
なお、計算上必要はないが、中立軸の位置$x$は、次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x &= kd\\[5px]
&= 0.198 \times 490\\[5px]
&= 97 \ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-2-3-6. 圧縮応力度、引張応力度
圧縮応力度 $\sigma_c$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_c &= \frac{2M}{k \cdot j \cdot b_o \cdot d^2}\\[5px]
&= \frac{2 \times 59.557 \times 1000 \times 1000}{0.198 \times 0.934 \times 1000 \times 490^2}\\[5px]
&= 2.688 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- $j$:圧縮合力の作用距離と有効高さの比
- $j=1-k/3=1-0.198/3 = 0.934$
引張応力度 $\sigma_s$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_s &= \frac{M}{A_s \cdot j \cdot d}\\[5px]
&= \frac{59.557 \times 1000 \times 1000}{794.4 \times 0.934 \times 490}\\[5px]
&= 163.787 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
「1. 設計条件」で定めたとおり、鉄筋コンクリートの許容曲げ圧縮応力度$8 \mathrm{N/mm^2}$、鉄筋の許容引張応力度$180 \mathrm{N/mm^2}$である。
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_c=2.688 \leqq 8 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px]
\sigma_s=163.787 \leqq 180 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
圧縮および引張に対しては安全である。
4-3. つま先版(せん断力)
たて壁の前面から底版厚さの1/2離れた位置をせん断力に対する照査断面とする。(H24道擁p183)
4-3-1. 設計に用いる荷重
4-3-1-1. 自重
擁壁を図のとおりの断面に区分し、面積と重心を求める。
重心は、照査断面の中心から距離とし、水平方向$x$、鉛直方向$y$とする。
|
幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
① |
0.500 |
0.600 |
0.300 |
0.250 |
- |
自重$W_c$は、断面積$A$に、コンクリートの単位体積重量$\gamma_c$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_c &= \Sigma A \cdot \gamma_c\\[5px]
&= 0.300 \cdot 24.5\\[5px]
&= 7.350 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-3-1-2. 地盤反力
地盤反力による鉛直力$N$と作用位置$x$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
N &= \frac{1}{2}(q_1 + q_2) \cdot B_t\\[5px]
&= \frac{1}{2}(213.629 + 189.603) \cdot 0.500\\[5px]
&= 100.808 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x &= \frac{2 \cdot q_1 + q_2}{3 \cdot (q_1 + q_2)} \cdot B_t\\[5px]
&= \frac{2 \cdot 213.629 + 189.603}{3 \cdot (213.629 + 189.603)} \cdot 0.500\\[5px]
&= 0.255 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- $q_1$:つま先版前面位置の地盤反力度
- $q_1 = 213.629 \ \mathrm{kN/m^2}$
- $q_2$:つま先版設計位置の地盤反力度
- $q_2 = 189.603 \ \mathrm{kN/m^2}$
- $B_t$:地盤反力作用幅
- $B_t = 0.500 \ \mathrm{m}$
4-3-2. 作用力の集計
照査にあたり、作用力を集計する。
自重と地盤反力について、上記のとおり鉛直力をそれぞれ算出しましたので、作用位置までの距離を乗じて、モーメントを算出する。
つま先版上の土砂の上載荷重は無視する。(H24道擁p182)
また、モーメントを右回り正とするため、左回りになる自重は負となる。
| 鉛直力 | 水平力 | 作用位置(アーム長) | モーメント |
| $V$ | $H$ | $x$ | $y$ | $M_x = V \cdot x$ | $M_y = H \cdot y$ |
| (kN/m) | (kN/m) | (m) | (m) | (kN・m/m) | (kN・m/m) |
自重 | -7.350 | 0.000 | 0.250 | ― | -1.838 | 0.000 |
地盤反力 | 100.808 | 0.000 | 0.255 | ― | 25.703 | 0.000 |
合計 | 93.458 | 0.000 | ― | ― | 23.865 | 0.000 |
4-3-3. 応力度算出と判定
4-3-3-1. かぶりと有効高
「4-2-3-4. かぶりと有効高」より、
- 主鉄筋中心までのかぶり:$110\ \mathrm{mm}$
- つま先版の断面計算上の有効高:$d= 490\ \mathrm{mm}$
4-3-3-2. せん断スパン比
せん断スパン比$\displaystyle \frac{a}{d}$は、「つま先版に作用する鉛直荷重の合力の作用位置から、たて壁前面までの距離」となるので、次式のとおり算出できる。(H24道擁p188)
せん断スパン$a$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
a &= \frac{M_x}{V}\\[5px]
&= \frac{59.557}{143.767}\\[5px]
&= 0.414 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここで、「4-2-2. 作用力の集計」より、
- $M_x$:つま先版基部の曲げモーメント $M_x=59.557\ \mathrm{kN・m/m}$
- $V$:つま先版全体に作用する鉛直力 $V=143.767\ \mathrm{kN/m}$
📌NOTE |
- 上記の計算に用いる$M_x$と$V$の値は、直前に計算したモーメントと鉛直力ではなく、4-2. つま先版(曲げモーメント)で算出した値を用いている点に注意してください。
|
底版の有効高$d$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
d = 0.490 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\frac{a}{d} &= \frac{0.414}{0.490}\\[5px]
&= 0.845
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-3-3-3. せん断応力度
せん断スパン比$\displaystyle \frac{a}{d}$が2.5より小さいので、せん断応力度は次式で算出できる。(H24道擁p145,186)
せん段応力度 $\tau_m$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\tau_m &= \frac{S_h}{b_0 \cdot d}\\[5px]
&= \frac{93.458 \times 1000}{1000 \times 490}\\[5px]
&= 0.191 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
許容せん断応力度は、部材断面の有効高による補正係数(H24道擁p79)と、軸方向鉄筋比による補正係数(H24道擁p80)と、せん断スパン比によるせん断耐力の補正係数(H24道擁p186)を用いて算出する。
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\tau_m=0.191 \leqq 1.161 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px]
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
せん断に対しては安全である。
4-4. かかと版(曲げモーメント)
かかと版とたて壁との結合部を曲げモーメントに対する照査断面とする。(H24道擁p184)
4-4-1. 設計に用いる荷重
4-4-1-1. 自重
擁壁を図のとおりの断面に区分し、面積と重心を求める。
重心は、かかと版結合部の中心から距離とし、水平方向$x$、鉛直方向$y$とする。
|
幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
① |
2.600 |
0.600 |
1.560 |
1.300 |
- |
自重$W_c$は、断面積$A$に、コンクリートの単位体積重量$\gamma_c$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_c &= \Sigma A \cdot \gamma_c\\[5px]
&= 1.560 \cdot 24.5\\[5px]
&= 38.220 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-4-1-2. 背面土砂
背面土砂は、かかと版上の矩形部とする。
|
幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
① |
2.600 |
6.300 |
16.380 |
1.300 |
- |
背面土砂重量$W_s$は、擁壁の断面積$A$に、背面土砂(裏込め土)の単位体積重量$\gamma_s$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_s &= \Sigma A \cdot \gamma_s\\[5px]
&= 16.380 \cdot 19.0\\[5px]
&= 311.220 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-4-1-3. 載荷重
地表面の載荷重$N$は、下式により求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
N &= (B_k - b_q) \cdot q\\[5px]
&=(2.600 - 2.000) \cdot 10\\[5px]
&= 6.000 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
地表面の載荷重の重心(水平方向のかかと版基部からの距離)は、中点なので下式で求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x_N &= \frac{B_k - b_q}{2} + b_q\\[5px]
&= \frac{2.600 - 2.000}{2} + 2.000\\[5px]
&= 2.300 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-4-1-4. 土圧
土圧は、「2-4. 土圧」で求めた鉛直成分を用いて次式で算出できる。(H24道擁p184)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
p_v &= \frac{2 \cdot P_V}{B_k}\\[5px]
&= \frac{2 \times 0}{2.600}\\[5px]
&= 0 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-4-1-5. 地盤反力
地盤反力による鉛直力$N$と作用位置$x$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
N &= \frac{1}{2}(q_1 + q_2) \cdot B_k\\[5px]
&= \frac{1}{2}(146.356 + 21.421) \cdot 2.600\\[5px]
&= 218.110 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x &=B_k - \frac{2 \cdot q_1 + q_2}{3 \cdot (q_1 + q_2)} \cdot B_k\\[5px]
&=2.600 - \frac{2 \cdot 146.356 + 21.421}{3 \cdot (146.356 + 21.421)} \cdot 2.600\\[5px]
&= 0.977 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- $q_1$:かかと版設計位置の地盤反力度
- $q_1 = 146.356 \ \mathrm{kN/m^2}$
- $q_2$:かかと版背面位置の地盤反力度
- $q_2 = 21.421 \ \mathrm{kN/m^2}$
- $B_k$:地盤反力作用幅
- $B_k = 2.600 \ \mathrm{m}$
4-4-2. 作用力の集計
照査にあたり、作用力を集計する。
自重、背面土砂、載荷重、土圧、および地盤反力について、上記のとおり鉛直力と水平力をそれぞれ算出しましたので、作用位置までの距離を乗じて、モーメントを算出する。
また、モーメントを右回り正とするため、左回りになる地盤反力は負となる。
| 鉛直力 | 水平力 | 作用位置(アーム長) | モーメント |
| $V$ | $H$ | $x$ | $y$ | $M_x = V \cdot x$ | $M_y = H \cdot y$ |
| (kN/m) | (kN/m) | (m) | (m) | (kN・m/m) | (kN・m/m) |
自重 | 38.220 | 0.000 | 1.300 | ― | 49.686 | 0.000 |
背面土砂 | 311.220 | 0.000 | 1.300 | ― | 404.586 | 0.000 |
載荷重 | 6.000 | 0.000 | 2.300 | ― | 13.800 | 0.000 |
土圧 | 0.000 | 0.000 | ― | ― | 0.000 | 0.000 |
地盤反力 | -218.110 | 0.000 | 0.977 | ― | -213.163 | 0.000 |
合計 | 137.330 | 0.000 | ― | ― | 254.909 | 0.000 |
かかと版つけ根の曲げモーメント$M_3$が、たて壁つけ根における曲げモーメント$M_1$を超える場合は、$M_3=M_1$とすることになるため(H24道擁p185)、両者を比較すると、
- かかと版つけ根の曲げモーメント$M_3=254.909 \ \mathrm{kN・m/m}$
- たて壁つけ根の曲げモーメント$M_1=241.211 \ \mathrm{kN・m/m}$(4-1-2. 作用力の集計より)
$M_3>M_1$ であるため、
$M_3=241.211$
4-4-3. 応力度算出と判定
4-4-3-1. 主鉄筋の寸法と鉄筋量
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D32(1-10.かかと版の鉄筋より)
- 公称直径:$31.8 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
- 公称断面積:$794.2 \mathrm{mm^2/本}$(H24道擁p74)
配筋間隔は、
- $250 \mathrm{mm}$(1-10.かかと版の鉄筋より)
であるため、1mあたりの本数を計算すると、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\frac{1000}{250} = 4\ \mathrm{本/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
以上より、主鉄筋の断面鉄筋量$A_s$(幅1mあたり)は、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
A_s= 794.2 \times 4 = 3176.8\ \mathrm{mm^2/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
となる。
4-4-3-2. 配力鉄筋の寸法と鉄筋量
配力鉄筋は、軸方向鉄筋量の1/6以上となる寸法および配筋間隔で設計する。(H24道擁p156)
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D16
- 公称直径:$15.9 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
- 公称断面積:$198.6 \mathrm{mm^2/本}$(H24道擁p74)
配筋間隔は、
とするため、1mあたりの本数を計算すると、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\frac{1000}{250} = 4\ \mathrm{本/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
以上より、配力鉄筋の断面鉄筋量$A_s$(幅1mあたり)は、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
A_s= 198.6 \times 4 = 794.4\ \mathrm{mm^2/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
となる。(軸方向鉄筋量$3176.8\mathrm{mm^2/m}$の1/6以上を満足)
4-4-3-3. 中間帯鉄筋の寸法
中間帯鉄筋は配力鉄筋と同径で設計する。(H24道擁p152,156,H29道路橋示方書IV下部構造編p101)
用いる鉄筋の種別と寸法は、下記のとおり。
- 種別:D16
- 公称直径:$15.9 \mathrm{mm}$(H24道擁p74)
4-4-3-4. かぶりと有効高
かかと版に設置される鉄筋のかぶり(純かぶり)は、土中に設置されるため、
- 純かぶり:$70 \mathrm{mm}$(H24道擁p154)
とする。
主鉄筋中心までのかぶりは、下式で求める。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
&\frac{主鉄筋の径}{2} + 配力鉄筋の径 + 中間帯鉄筋の径 + 純かぶり\\[5px]
&= \frac{31.8}{2} + 15.9 + 15.9 + 70\\[5px]
&= 117.7\\[5px]
&\fallingdotseq 120\ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここで、底版厚は$0.600 \mathrm{m} = 600 \mathrm{mm}$なので、かかと版の断面計算上の有効高$d$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
d &= 600 - 120\\[5px]
&= 480\ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-4-3-5. 中立軸比
まず、引張鉄筋比$p$を求める。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
p &= \frac{A_s}{b_0 \cdot d}\\[5px]
&= \frac{3176.8}{1000 \cdot 480}\\[5px]
&= 0.0066
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- 主鉄筋の鉄筋量:$A_s=3176.8 \ \mathrm{mm^2/m}$
- 有効高:$d=480 \ \mathrm{mm}$
- 断面幅:$b_0=1000 \ \mathrm{mm}$
中立軸比$k$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
k &= \sqrt{2np+(np)^2}-np\\[5px]
&= \sqrt{2 \times 15 \times 0.0066 +(15 \times 0.0066)^2}-15 \times 0.0066\\[5px]
&= 0.357
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
なお、計算上必要はないが、中立軸の位置$x$は、次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x &= kd\\[5px]
&= 0.357 \times 480\\[5px]
&= 171 \ \mathrm{mm}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-4-3-6. 圧縮応力度、引張応力度
圧縮応力度 $\sigma_c$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_c &= \frac{2M}{k \cdot j \cdot b_o \cdot d^2}\\[5px]
&= \frac{2 \times 241.211 \times 1000 \times 1000}{0.357 \times 0.881 \times 1000 \times 480^2}\\[5px]
&= 6.653 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
引張応力度 $\sigma_s$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_s &= \frac{M}{A_s \cdot j \cdot d}\\[5px]
&= \frac{241.211 \times 1000 \times 1000}{3176.8 \times 0.881 \times 480}\\[5px]
&= 179.568 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
「1. 設計条件」で定めたとおり、鉄筋コンクリートの許容曲げ圧縮応力度$8 \mathrm{N/mm^2}$、鉄筋の許容引張応力度$180 \mathrm{N/mm^2}$である。
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sigma_c=6.653 \leqq 8 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px]
\sigma_s=179.568 \leqq 180 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
圧縮および引張に対しては安全である。
📌NOTE |
- たて壁と同様に、引張応力度は、許容応力度にかなり近い値となっています。
- 擁壁背面に少しでも盛土した場合、NGとなりますので、擁壁の断面形状や鉄筋の規格を変更しなければいけません。
|
4-5. かかと版(せん断力)
たて壁の前面から底版厚さの1/2離れた位置をせん断力に対する照査断面とする。(H24道擁p184)
4-5-1. 設計に用いる荷重
4-5-1-1. 自重
擁壁を図のとおりの断面に区分し、面積と重心を求める。
重心は、照査断面の中心から距離とし、水平方向$x$、鉛直方向$y$とする。
|
幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
① |
2.300 |
0.600 |
1.380 |
1.150 |
- |
自重$W_c$は、断面積$A$に、コンクリートの単位体積重量$\gamma_c$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_c &= \Sigma A \cdot \gamma_c\\[5px]
&= 1.380 \cdot 24.5\\[5px]
&= 33.810 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-5-1-2. 背面土砂
背面土砂は、かかと版上の矩形部とする。
|
幅 |
高さ |
面積$A$ |
$x$ |
$y$ |
① |
2.300 |
6.300 |
14.490 |
1.150 |
- |
背面土砂重量$W_s$は、擁壁の断面積$A$に、背面土砂(裏込め土)の単位体積重量$\gamma_s$を乗じて算出する。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
W_s &= \Sigma A \cdot \gamma_s\\[5px]
&= 14.490 \cdot 19.0\\[5px]
&= 275.310 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-5-1-3. 載荷重
地表面の載荷重$N$は、下式により求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
N &= (B_k - b_q) \cdot q\\[5px]
&=(2.600 - 2.000) \cdot 10\\[5px]
&= 6.000 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
地表面の載荷重の重心は、下式により求められる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x_N &= \frac{B_k - b_q}{2} + b_q - \frac{h_b}{2}\\[5px]
&= \frac{2.600 - 2.000}{2} + 2.000 - \frac{0.600}{2}\\[5px]
&= 2.000 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-5-1-4. 土圧
土圧は、「2-4. 土圧」で求めた鉛直成分を用いて次式で算出できる。(H24道擁p184)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
p_v &= \frac{2 \cdot P_V}{B_k}\\[5px]
&= \frac{2 \times 0}{2.600}\\[5px]
&= 0 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
4-5-1-5. 地盤反力
地盤反力による鉛直力$N$と作用位置$x$は次式で算出できる。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
N &= \frac{1}{2}(q_1 + q_2) \cdot B_k\\[5px]
&= \frac{1}{2}(131.941 + 21.421) \cdot 2.300\\[5px]
&= 176.366 \ \mathrm{kN/m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
x &=B_k - \frac{2 \cdot q_1 + q_2}{3 \cdot (q_1 + q_2)} \cdot B_k\\[5px]
&=2.300 - \frac{2 \cdot 131.941 + 21.421}{3 \cdot (131.941 + 21.421)} \cdot 2.300\\[5px]
&= 0.874 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
- $q_1$:かかと版設計位置の地盤反力度
- $q_1 = 131.941 \ \mathrm{kN/m^2}$
- $q_2$:かかと版背面位置の地盤反力度
- $q_2 = 21.421 \ \mathrm{kN/m^2}$
- $B_k$:地盤反力作用幅
- $B_k = 2.300 \ \mathrm{m}$
4-5-2. 作用力の集計
照査にあたり、作用力を集計する。
自重、背面土砂、載荷重、土圧、および地盤反力について、上記のとおり鉛直力をそれぞれ算出しましたので、作用位置までの距離を乗じて、モーメントを算出する。
また、モーメントを右回り正とするため、左回りになる地盤反力は負となる。
| 鉛直力 | 水平力 | 作用位置(アーム長) | モーメント |
| $V$ | $H$ | $x$ | $y$ | $M_x = V \cdot x$ | $M_y = H \cdot y$ |
| (kN/m) | (kN/m) | (m) | (m) | (kN・m/m) | (kN・m/m) |
自重 | 33.810 | 0.000 | 1.150 | ― | 38.882 | 0.000 |
背面土砂 | 275.310 | 0.000 | 1.150 | ― | 316.607 | 0.000 |
載荷重 | 6.000 | 0.000 | 2.000 | ― | 12.000 | 0.000 |
土圧 | 0.000 | 0.000 | ― | ― | 0.000 | 0.000 |
地盤反力 | -176.366 | 0.000 | 0.874 | ― | -154.100 | 0.000 |
合計 | 138.754 | 0.000 | ― | ― | 213.388 | 0.000 |
4-5-3. 応力度算出と判定
4-5-3-1. かぶりと有効高
「4-4-3-4. かぶりと有効高」より、
- 主鉄筋中心までのかぶり:$120\ \mathrm{mm}$
- かかと版の断面計算上の有効高:$d= 480\ \mathrm{mm}$
4-5-3-2. せん断スパン比
せん断スパン比$\displaystyle \frac{a}{d}$は次のとおり算出できる。(H24道擁p188)
せん断スパン$a$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
a &= L+L'\\[5px]
&= \frac{M_x}{V} + \min(\frac{t_c}{2},d)\\[5px]
&= \frac{254.909}{137.330} + \frac{0.600}{2}\\[5px]
&= 1.856 + \frac{0.600}{2}\\[5px]
&= 2.156 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
底版の有効高$d$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
d = 0.480 \ \mathrm{m}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\frac{a}{d} &= \frac{2.156}{0.480}\\[5px]
&= 4.492
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
📌NOTE |
せん断スパン比の計算に用いる$M_x$と$V$は、かかと版全体の値なので、「4-4-2. 作用力の集計」で算出した値($M_1$と比較する前の値)となることに注意が必要です。
|
4-5-3-3. せん断応力度
せん断スパン比$\displaystyle \frac{a}{d}$が2.5より大きいので、せん断応力度は次式で算出できる。(H24道擁p145,186)
せん段応力度 $\tau_m$
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\tau_m &= \frac{S_h}{b_0 \cdot d}\\[5px]
&= \frac{138.754 \times 1000}{1000 \times 480}\\[5px]
&= 0.289 \ \mathrm{N/mm^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
ここに、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
S_h &= S - \frac{M}{d}(\tan \beta + \tan \gamma)\\[5px]
&= 138.754 - \frac{213.388}{0.480}(\tan 0 + \tan 0)\\[5px]
&= 138.754 \ \mathrm{kN/m^2}
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
許容せん断応力度は、部材断面の有効高による補正係数(H24道擁p79)と、軸方向鉄筋比による補正係数(H24道擁p80)を用いて算出する。
よって、
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\tau_m=0.289 \leqq 0.387 \ \ \bbox[2px, border: 2px solid]{\mathrm{OK}}\\[5px]
\end{split}\nonumber
\end{equation}
$$
せん断に対しては安全である。
エクセルブック
計算を記載したエクセルブックは下記からダウンロードしてください。
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