水平方向地盤反力係数とは?

地盤に作用する「水平力」と「水平変位」との関係を示す係数です。

そもそも「地盤反力」とは、地盤に作用した荷重に対抗して、地盤が反作用する力のことです。

例えば、コンクリート構造物を地盤上に設置すると、重力によってコンクリート構造物の基礎底面が地盤を押す力(荷重)が作用し、その作用力に対する反力が地盤反力ということです。

また「地盤反力係数」は、地盤反力度と地盤変位の比であり、

$$ \begin{align} K_s=\frac{p}{s} \nonumber \end{align} $$

と定義されます。

ここで、

  • $p$:地盤反力度(単位面積あたりの地盤反力)
  • $s$:地盤変位

注意すべき事項として、分子に「単位面積あたり」の地盤反力が用いられている点です。

つまり同じ大きさの「地盤反力」であっても、「載荷面積」が大きいと、「地盤反力度」は小さくなります。

設計実務においては、地盤反力係数を鉛直方向・水平方向に分けて用いられており、それぞれ「鉛直方向地盤反力係数」と「水平方向地盤反力係数」と呼ばれています。

よって、水平方向地盤反力係数の定義は、「構造物から地盤に対して作用する水平方向の力」と「その水平力による地盤の水平方向の変位量」の比となります。

求め方

道路橋の基礎工などで用いられる水平方向地盤反力係数の算出式は下記のとおり。

$$ \begin{equation} \begin{split} k_H &= k_{H0} \cdot \left( \frac{B_H}{0.3} \right)^{-\frac{3}{4}} \\[0.5em] &= \frac{1}{0.3} \times \alpha \times E_0 \times {A_H}^{-\frac{3}{8}} \times \left( \frac{1}{0.3} \right)^{-\frac{3}{4}} \end{split} \end{equation} $$

ここで

  • $k_{H0}$:直径0.3mの剛体円板による平板載荷試験の値に相当する水平方向の地盤反力係数(kN/m³)
    • $\displaystyle k_{H0} = \frac{1}{0.3} \times \alpha \times E_0$
      • $\alpha$:地盤反力係数の推定に用いる係数
      • $E_0$:設計の対象とする位置での地盤の変形係数(kN/m²)
  • $B_H$:荷重作用方向に直交する基礎の換算載荷幅(m)
    • $B_H = \sqrt{A_H}$
      • $A_H$:水平方向の載荷面積(m²)

地盤の変形係数$E_0$を測定・推定するための試験方法は、道路橋示方書(H29) p.422に次の4種類が記載されており、$\alpha$の値もそれぞれ定められています。

試験方法 常時・暴風時の$\alpha$ 地震時の$\alpha$
平板載荷試験 1 2
孔内水平載荷試験 4 8
供試体の一軸圧縮試験または三軸圧縮試験 4 8
標準貫入試験 1 2

実務においては、実施可能な試験は限られていることが多く、最も採用しやすいのは「標準貫入試験」になると思います。

使い方

水平方向地盤反力係数が用いられる主な設計は次のとおり。